2019 年 337 巻 p. 109-
本論文は「主体的・対話的で深い学び」を実現するための、教材・授業開発の題材として「現代的な課題」の一つである「防災教育」を取り上げ、その指導法上の課題や工夫について検討するものである。静岡大学藤井研究室では2011年より学生たちが中心となって災害時における人間の葛藤場面を教材化し、判断力や行動力を育むための対話型の防災授業「防災道徳」を提案して、その改善・普及を図ってきた。以下では、道徳の教科化への対応が進められるなかで、児童生徒にとって話し合い活動がどのような意義や可能性を持つのかについて近年の発達心理学の知見から検証し、新しい学習指導要領の方向性に適った実践として、道徳教育と防災教育との連携について考えてみたい。