海洋深層水研究
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駿河湾300m層の流動と水温の変動
稲葉 栄生勝間田 高明安田 訓啓
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キーワード: 駿河湾, 海洋深層水, 流動, 水温
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2001 年 2 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

駿河湾口東部において15ヶ月間の長期に亘る係留式ADCP観測により取得した資料の最下層である300m層の流動および水温の解析を行って, それらの変動の実状を調べた.その結果, 流入と流出の最大値は57cm/secと40cm/secで, 全期間の平均流は1cm/sec以下の極めて小さい値である.水温の最大値と最小値は12.7℃ と7.0℃ で, 変動幅は5.7℃ に及ぶ.これらを高知県室戸岬沖の320m層の観測値と較べると, 同湾は最大値で2.9℃ 高く, 最小値で1.1℃ 低く, 変動幅は4.0℃ も大きい.流動は短周期では半日および1日の潮汐, 中周期では18日と37日が卓越し, 長周期は微弱である.水温は短周期では半日および1日の潮汐, 中周期では25日が卓越する.同湾の300m層の流動および水温は内部潮汐の影響による潮汐周期と黒潮変動の影響による中周期変動, さらに水温には季節変動も加わって時間変動が激しい.従って, 同湾300m層海洋深層水は必ずしも低温安定性に富むとは言えない.

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