2001 年 2 巻 1 号 p. 9-14
富栄養化海水の有効利用の一環として, 不稔性アオサ属植物 (Ulva) からの有価物生産を狙いに, アオサ属植物の培養生産設備と有効成分について検討を行った.試作した培養装置により, 実海域でアオサ属植物の増殖速度は20g/m2・dと高い値を示した.また, アオサ属植物の有効利用法の開発のため, アオサ属植物に含まれるD-システノール酸の精製標品を用いて生理活性を評価したところ, 活性酸素抑制効果と共に, 中性脂肪 (トリグリセリド) 抑制効果が認められた.上記結果から, D-システノール酸は活性酸素や中性脂肪等の成人病初期原因物質に対し, 抑制効果が存在することが認められ, 健康食品や医薬品原料等として利用が期待される.