海洋深層水研究
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小田原沖海洋深層水の栄養塩類特性について
木下 淳司近 磯晴宮原 司
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2002 年 3 巻 1 号 p. 7-13

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抄録

相模湾西部小田原沖は, 水深が深く首都圏における海洋深層水取水適地である. 本海域における海洋深層水の栄養塩類特性の鉛直構造と季節変化を知るために, 1999年7月から2000年1月にかけて水深400mまでの水温, 塩分, および栄養塩類濃度の経月変化を調査した. 栄養塩類濃度は水深に比例して高くなった. 400m深の平均値と標準偏差は, 水温8.9±1.4℃, 塩分34.36±0.06psu, 全無機窒素態栄養塩類 (TIN) 25.1±4.8μM, Po4-P 1.8±0.3μMおよびSiO4-Si 50.1±11.2μMであった. N/P比は200m以深では14台で安定していた. 栄養塩類濃度は低温, 低塩分の亜寒帯系中層水が卓越した1999年7, 8月と2000年1月に高まり, 高温, 高塩分の黒潮系水が卓越した1999年10~12月には低くなっていた. このことから栄養塩類濃度は海況の影響を受けて変動すると推定されたが, 海洋深層水の利用を図る上では, 今回得られた測定値は室戸沖や駿河湾で得られた値に近い低温, 富栄養および安定性を示すものであった.

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