商業規模での海洋深層水の実用化には大量取水による多目的・多段階利用, 特に経済性メリットの大きい海洋深層水の低温安定性を活用する高効率エネルギー利用が望まれる. 海洋深層水を発電所復水器冷却用水とする発電エネルギーの利用は, 発電効率の向上や省資源化そしてCO
2の排出削減につながることが期待されており, この場合の利用水量は日100万m
3程度となる. このような大量の海洋深層水を取水し, 海域に還流することは, 周辺海域環境への様々なインパクトが想定されるものの, 海洋深層水を適正に放水すれば, 大型藻類の生長促進による磯焼け防止, 磯根資源の増大, 海域肥沃化による海洋バイオマス全体の増大が期待される.
これらのことを効率良く可能にするには, 放水技術の検討が望まれる.
本研究は, 還流による大型藻類の生長促進や海域肥沃化を図りつつ環境影響の軽減化を目的とした新しい放水技術の研究開発を行ったものである.
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