海洋深層水研究
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3 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 大坂 文人, 佐田国 健治
    2002 年 3 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    宮古市では全国屈指の水産漁獲高を誇る岩手県宮古漁協の協力を得て民間企業ベースで平成10 (1998) 年より三陸沖海洋深層水の取水及び利用研究を行ってきた.
    深層水取水方式には陸上設置型, 洋上設置型, 船上搭載型等があり, 夫々についてすでに実施例が紹介されている. 本研究では三陸沖からの深層水取水に適した方法として作業船 (引船) に簡単に搭載・撤去ができる船上搭載型取水装置を開発し, 平成13 (2001) 年4月6日宮古港東方約35km, 水深700mの海域において深度625mから海洋深層水を取水した. この海洋深層水取水結果から得られた知見によれば, 海水温度の低温安定性 (3~3.4℃) からみると三陸沖における深層水取水深度は550m以深, 離岸距離30km以上の海域にあり取水管を海底敷設する陸上設置型による取水は不適当である. 従って, 離岸距離の長いこの海域における深層水取水は船上搭載型方式によるのが適当であることがわかった.
  • 木下 淳司, 近 磯晴, 宮原 司
    2002 年 3 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    相模湾西部小田原沖は, 水深が深く首都圏における海洋深層水取水適地である. 本海域における海洋深層水の栄養塩類特性の鉛直構造と季節変化を知るために, 1999年7月から2000年1月にかけて水深400mまでの水温, 塩分, および栄養塩類濃度の経月変化を調査した. 栄養塩類濃度は水深に比例して高くなった. 400m深の平均値と標準偏差は, 水温8.9±1.4℃, 塩分34.36±0.06psu, 全無機窒素態栄養塩類 (TIN) 25.1±4.8μM, Po4-P 1.8±0.3μMおよびSiO4-Si 50.1±11.2μMであった. N/P比は200m以深では14台で安定していた. 栄養塩類濃度は低温, 低塩分の亜寒帯系中層水が卓越した1999年7, 8月と2000年1月に高まり, 高温, 高塩分の黒潮系水が卓越した1999年10~12月には低くなっていた. このことから栄養塩類濃度は海況の影響を受けて変動すると推定されたが, 海洋深層水の利用を図る上では, 今回得られた測定値は室戸沖や駿河湾で得られた値に近い低温, 富栄養および安定性を示すものであった.
  • 太田 裕紀子, 植松 季栄, 井上 紳太郎
    2002 年 3 巻 1 号 p. 15-19
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    海洋深層水はミネラル成分が豊富に含まれていることが知られているが, 皮膚に及ぼす作用にっいては詳しく調べられていない. 皮膚表層の健全な角層の形成にはミネラル成分が関与していると考えられているので, 今回, 富山海洋深層水の表皮細胞へ及ぼす作用を検討した. その結果, 本深層水は細胞増殖および角化不溶性膜形成を用量依存的に促進し, また角層形成 (角化) に重要なタンパク質であるインボルクリン産生の促進傾向を示したことから, 細胞角化を増強することが明らかとなった. 本深層水に高濃度に含有されるケイ酸は, 濃度依存的に角化を促進し, その効果は共存するカルシウムによって相乗的に上昇した. これらの結果, 本深層水の作用メカニズムの一つは同時に含有されるケイ酸とカルシウムの効果であることが示唆された. 富山海洋深層水は表皮細胞の増殖能と角化能を同時増強することで, バランス良い角層の形成を促し (ターンオーバーの活性化), スキンケアに有用と考えられる.
  • 経済性評価
    松本 吉倫, 大塚 耕司
    2002 年 3 巻 1 号 p. 21-29
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    Deep ocean water (DOW) has attracted special interest as one of the renewable resources with great potential. The purpose of this study is to evaluate feasibility of a large scale DOW pumping-up/distribution, on the assumption that the demand of the DOW significantly increases in the near future. In this paper, economics for two types of the DOW pumping-up systems, floating-type and land-based systems, are investigated as the first step of this study. The results of the economic analysis show that the break-even point price of DOW for floating-type is lower than that for land-based one, and the price of the desalinated drinking water becomes comparable to present public service water when the capital share rate is higher than 50%.
  • 高月 邦夫, 林 成年, 足達 康行
    2002 年 3 巻 1 号 p. 31-40
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    商業規模での海洋深層水の実用化には大量取水による多目的・多段階利用, 特に経済性メリットの大きい海洋深層水の低温安定性を活用する高効率エネルギー利用が望まれる. 海洋深層水を発電所復水器冷却用水とする発電エネルギーの利用は, 発電効率の向上や省資源化そしてCO2の排出削減につながることが期待されており, この場合の利用水量は日100万m3程度となる. このような大量の海洋深層水を取水し, 海域に還流することは, 周辺海域環境への様々なインパクトが想定されるものの, 海洋深層水を適正に放水すれば, 大型藻類の生長促進による磯焼け防止, 磯根資源の増大, 海域肥沃化による海洋バイオマス全体の増大が期待される.
    これらのことを効率良く可能にするには, 放水技術の検討が望まれる.
    本研究は, 還流による大型藻類の生長促進や海域肥沃化を図りつつ環境影響の軽減化を目的とした新しい放水技術の研究開発を行ったものである.
  • 利用に関わる諸問題これからの深層水の分水について
    中島 敏光, 池田 敏宏, 新川 稔, 高瀬 進, 宮城 弘, 戸田 勇二
    2002 年 3 巻 1 号 p. 41-51
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
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