抄録
1999年11月に, 駿河湾焼津沖の深層水取水口設置予定地点 (取水予定深度: 350mおよび700m) を主対象として, 富栄養, 清浄性に係わる水質特性と水塊構造について調べた. 取水口設置予定地点近傍の測点の350mおよび700mにおける水温は, それぞれ10℃ と5℃ であり, 塩分は150m付近と500m付近に各々極大と極小を示し, 水温, 塩分データによる水塊解析から, 両取水予定深度における海水は, 亜寒帯系中層水に分類された. 栄養塩類の濃度は, 深度と共に増加し, 同測点の400mおよび700mでは, それぞれ硝酸塩26.1μM, 燐酸塩1.9μM, 珪酸塩58.3μM, および硝酸塩35.6μM, 燐酸塩2.6μM, 珪酸塩103μMであり, 富栄養性であることが示された. 清浄性に関する水質項目としての生菌数, 溶存態有機炭素濃度, 懸濁態有機炭素濃度については, 深層水の方が表層水に比べて少なかった. 懸濁物質濃度は深層水の方が表層水に比べて高くなったが, 懸濁物質中に占める有機物の割合は, 表層よりも深層の方が小さかった.