抄録
イオンクロマトグラフを用いて, 硝酸塩を1時間毎に連続的に自動分析する装置を開発して, 2001年9月から2003年3月まで, 富山県滑川市の県水産試験場に揚水されている海洋深層水中の硝酸塩濃度を測定した.上記深層水中に含まれる硝酸塩濃度は通常は24μM程度であるが, 時々10.1~24.8μMの濃度変動が観察された.濃度変動は時間単位で見られ, 数時間から数日間に及んだ.硝酸塩濃度と水温に高い相関が認められ, 濃度の減少と水温の上昇が対応した.硝酸塩濃度が低く, 水温の高い水塊が深層水の取水口付近へ, 水平的又は鉛直的に時々移動してくることが示唆され, 原因として冬型の天候や台風等の可能性が考えられた.