最近の海洋深層水利用では, 深層水の清浄性を維持するため, 表層水との混合によらず, 深層水のみを飼育用水として利用する場合が多い.このような場合には深層水の水温が低いため, 水産生物の飼育に好適な水温まで深層水を加熱する技術が要求される.
本開発では, 飼育排水や表層海水などの熱源水から熱回収を行うことにより, 効率的に温度調節を行う深層水温度管理システムを開発し, 運転状況の実測調査を行い, システムの運転性能と省エネルギー効果を明らかにした
その結果, 熱源水の温度や流量などの条件によって異なるものの, 熱回収を行なわないシステムに比べて大きな省エネルギー効果が得られることを明らかにした.また, 実験結果を基に, 飼育排水や表層海水から熱回収を行う場合の年間の熱回収率を, 熱源水と深層水の流量比をパラメーターとして推定した.