21世紀東アジア社会学
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論文
青年期から成人期へ移行する親子関係とIT利用
―越「域」する地方の若者の自立を中心に―
劉 楠
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2019 年 2019 巻 10 号 p. 28-39

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抄録

 本稿では、大学進学または就職のため地方から都会に移動した子どもを対象に、ITの利用(電話・SNS・対面での会話やメッセージ等)を通じた親子間のコミュニケーションと、成人子の自立と親子関係の在り方を明らかにする。成人子15 名を対象にインタビューした結果、対面・電話・Wechat・QQ アプリケーションの使い分けがあることが明らかにされた。(1)恋愛、結婚、就職などは、夏冬休み帰省中、成人子は親と対面で話してじっくり話したうえ決める。成人を迎えた子どもは、基本的に主体性をもつため、親の意見は、あくまでも参考意見であると本人が認識ている。(2)親子間の電話の頻度は週1 回程度、通話内容は食事、健康状態、環境適応等の日常を報告したり、気持ちを伝えたりすることが多い。即時解決したい時はビデオ電話を使って相談することもある。(3)親とはモーメンツを共有しているものの、時々親に見えないようモーメンツを隠す。

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© 2019 日中社会学会
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