応用生態工学
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愛知県中西部における谷津田域のホトケドジョウ集団の保全を目的とする遺伝的構造特性の解明
中西 彬花井 隆晃伴 邦教服部 翔吾太田 宗宏谷口 義則
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論文ID: 21-00017

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抄録

愛知県の谷津田環境で実施される造成事業の計画地に生息するホトケドジョウの保全を検討するため,計画地域にある 2 河川(下流で合流)の 7 地点とこれらと本川が異なる 1 地点を対象にミトコンドリア DNA の D-loop 領域とマイクロサテライト DNA を解析し,遺伝的構造を把握した.ミトコンドリア DNA は 2 河川 7 地点間に変異は認められず,遺伝情報が既知の東海集団に属すると判定された.また,マイクロサテライト DNA は,帰属性解析及び FST 値の結果から,河川流域ごとに遺伝的なまとまりがあり,2 河川間で遺伝的分化の程度に差があった.事業の影響を受ける 1 地点と近隣の 1 地点は,遺伝的多様性が非常に低く,2 地点間には多少の遺伝的分化が見られ,圃場整備による流路の分断化や個体群の小規模化の影響があると考えられる.この 2 地点は,過去には遺伝的交流があったと推測されることから,両地点の個体群を一体とした生息地の確保や遺伝的交流の確保が有効であると考えられる.

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