Edaphologia
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落水後の水田水生生物群集の生息場所に与える粗起こしの影響について
山崎 真嗣濱田 千裕神本 宣親籾井 隆志木村 眞人
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2002 年 69 巻 p. 25-33

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抄録

愛知県安城農業技術センターの水田において,粗起こし後の上部(0-4cm)の乾いた層(土壌水分含量3%)と,その下部(4-15cm)の湿った層(土壌水分含量19%)から5種類の試料(土壌,稲わら,刈株,刈株直下の上・下層土壌)を採取し,そこに休眠状態で留まっている水生生物の群集構造を調査した.調査は,粗起こし(1999年4月6日)後,10日目に実施した。水生生物群は,主に目(Order)のレベルで分類した。その結果,32種類の水生生物群が確認された。水生生物群の種類数は,乾いた土層部位(25)よりも湿った土層部位(32)に多く生息した.Pennales(羽状目)とHaplotaxida(ナガミミズ目)は,湿った土層部位から多く発生し,Colpodida(コルポダ目)は,乾いた土層部位の多くから発生することが判明した.落水粗起こし後の水田に生息する水生生物群集の組成をクラスター分析によって解析した結果,土壌水分環境の差位よりも採取した調査試料部位(土壌,稲わら,刈株,刈株直下の上・下層土壌)によって,グループ分けできた.また,各部位に休眠状態で生息している水生生物群集の組成は,落水期間を通じて大きく変化しないと推察された.

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© 2002 日本土壌動物学会
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