Edaphologia
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最新号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 久保田 直, 島野 智之, 丸山 一郎
    2018 年 102 巻 p. 1-9
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    福岡県(宗像市・みやま市),新潟県(糸魚川市)および鹿児島県(屋久島) から獲られた 5 個体の標本に基づいて本属の標徴を改め,種の標徴を与えた.これらの個体は,胴感杯の後部側面が三角形に尖っていること,胴感毛が緩やかに曲がっており,その刺の数が 15-17 本であること,背毛 tims より前方に位置すること, 背毛 p1,p2,p3 は他の背毛と同様に基部が太く先端に向かって細くなること,基節毛 4c が存在すること,基節毛 3b4c3c と同様に細長く途中で大きく曲がっていることなどの特徴で,模式種に基づく原記載とは異なっていることが分かった.本種は,これまでの記録から北海道(久遠郡せたな町)から鹿児島県(トカラ列島・中之島)までの日本の冷温帯から暖温帯までの多くの地域で採集されていることや,生息場所の多くは樹木下の土壌であることが分かった.
  • 松本 直幸, 須摩 靖彦, 小池 孝良
    2018 年 102 巻 p. 11-21
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー
    ニッポンシロトビムシ,ホソゲツチトビムシ,およびベソッカキトビムシの 3 種は積雪下で活動することが明らかになった.ニッポンシロトビムシは,落葉広葉樹林において,積雪下に設置した菌類トラップから優占的に採取された.その体長は,2 月下旬で平均 0.72 mm,その後も同調的に増加し,4 月上旬には 2 mm となった.ニッポンシロトビムシは夏期にはまったく検出されなかったので,一化性と考えられた.ホソゲツチトビムシとベソッカキトビムシは,積雪下において火山礫の地面に生える地衣類 Cladonia sp. から頻繁に採取された.ホソゲツチトビムシでは,10 月に小型個体が出現し 5 月の平均体長は 2 mm 以上に達し,常に中腸の充満した個体が含まれていた.本種も夏期にはまったく採取されず,一化性と推定された.ベソッカキトビムシの平均体長は 2014 年 12 月で 0.82 mm,2015 年 3 月には 0.72 mm と,積雪下で減少した.また 3 月には,前年 12 月にほとんど観られなかった 0.69 mm 以下の小型個体が大半を占めた.しかし翌冬には,明確な平均体長の減少は観察されず,2016 年 1 月の少雪が関与していると考えられた.さらに,20.1–40.3% の割合で 0.96 mm 以上の大型個体が常に存在した.このように,ベソッカキトビムシの個体群構造は積雪条件に影響されると考えられた.ベソッカキトビムシでは,両冬とも 12 月に中腸の満たされた個体は観察されなかったが,3 月には中腸の満たされた個体が観られた.すなわち本種は,冬期前半休眠し後半になって摂食し,積雪条件が好適な場合には繁殖すると推定された.以上のことから,これら 3 種のトビムシは積雪下においてもそれぞれ異なったやり方で活動していることが明らかになった.
  • 吉野 広軌, 久保田 耕平
    2018 年 102 巻 p. 23-29
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー
    タイプ標本に基づいてニホンヒメフナムシLigidium japonicum を再記載した.ニホンヒメフナムシは以下の点で再 定義される:尾肢内肢が尾肢外肢の 1.1–1.3 倍である,第 1 腹肢外肢に長い刺毛がある,第 2 腹肢内肢の先端はU 字である,内側に複数の棘がある,内側の切り欠きの前方の外側には棘が一つある.第 2 腹肢内肢の先端の内側の棘の数の変異がタイプ標本と千葉県の標本の間で見られた.
  • 金子 信博, 井上 浩輔, 南谷 幸雄, 三浦 季子, 角田 智詞, 池田 紘士, 杉山 修一
    2018 年 102 巻 p. 31-39
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー
    人間によるさまざまな土地管理は,そこに生息する土壌生物にも大きな影響を与え,土壌生物群集の組成やその機能が,さらにそこに生育する植物の生長にも影響している.農業においても保全管理を行うことで土壌生物の多様性や現存量を高めることが必要である.日本におけるリンゴ栽培は,品種改良と栽培技術の向上により,世界的に高い品質を誇るが,有機栽培は困難であると考えられている.青森県弘前市の木村秋則氏は, 独自の工夫により無施肥, 化学合成農薬不使用による有機栽培を成功させている.その成功の理由については地上部の天敵が増加することや,リンゴ葉内の内生菌による植物の保護力が高まることが考えられているが,土壌生態系の変化については十分調べられていない.そこで,2014 年 9 月に, 木村園(有機) と隣接する慣行リンゴ園, 森林の 3 箇所で土壌理化学性,微生物バイオマス,小型節足動物,および大型土壌動物の調査を行い,比較した.有機の理化学性は,慣行と森林の中間を示したが,カリウム濃度はもっとも低かった.AM 菌根菌のバイオマス, 小型節足動物, 大型土壌動物の個体数は有機で最も多く, 慣行で最も少なかった.特にササラダニの密度は有機が慣行の 10 倍であった.落葉と草本が多く,土壌孔隙が多いことが,有機での土壌生物の多様性および現存量を高めており,植物に必要な栄養塩類の循環と,土壌から地上に供給される生物量を増やすことで,天敵生物の密度を高めることが予測できた.
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