Edaphologia
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土壌団粒を用いたトビムシの機能研究を目的とした飼育実験系の確立
廿楽 法金子 信博
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2009 年 85 巻 p. 7-12

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抄録

従来の土壌動物と物質循環の関係についての研究では,土壌構造という視点が考慮されてこなかった.しかし,土壌の持つ構造は,生息空間や餌資源の分配などを通して,土壌動物の個体群動態や物質循環に影響している可能性がある.そこで,本研究では土壌構造が土壌動物や物質循環に与える影響を,非破壊で継続的に評価するために,微生物食者であるトビムシを用いた飼育実験系の確立を目的とした.本飼育実験系は定期的な純水の灌水と,マクファーデン装置による抽出,抽出されたトビムシの再導入というシステムで,浸透水中の窒素濃度と個体数の変化を測定した.純水の灌水や,マクファーデン装置による乾燥という操作を加えても,トビムシの個体数は増加した.窒素溶脱量はトビムシを投入した区においてに高い値を示した.よって,非破壊で,継続的に個体群動態と窒素動態を観察できる飼育実験系を作ることができた.

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© 2009 日本土壌動物学会
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