Edaphologia
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静岡県の山地渓流沿いの河床間隙から得られたCernosvitoviella minor(ヒメミミズ科)の日本初記録
鳥居 高明
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2011 年 88 巻 p. 31-35

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抄録

属と種が日本初記録となる,ミジンヒメミミズ属(和名新称)の一種,ミジンヒメミミズ(和名新称)Cernosvitoviella minor Dozsa-Farkas,1990について,静岡県の山地細流の州を掘り下げた河床間隙中から採集した個体を使って再記載した.本種は非常に小さな貧毛類であり,生時の体長は伸張時でも3〜5mm程度である.Dozsa-Farkas(1990)による原記載とは体腔細胞が2型ある点や輸精管の長さが若干長い点で異なっていたが,Rota and Healy(1999)による再記載とは一部を除きほとんどの特徴が一致した.ヨーロッパでは,本種はミズゴケ湿原や植物遺骸の堆積した沼地,淡水湖沼の水際などから知られ,同属のC.atrataやC.carpaticaは細流の間隙水中や山地に普通で,時に優占することが知られている.また,C.atrataは表層と間隙層間の水循環や水質(貧汚濁耐性)を指標する種として知られているが,C.minorもヨーロッパの生息環境と併せて考えるとC.atrataと同様の指標種となる可能性がある.

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© 2011 日本土壌動物学会
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