1991 年 21 巻 p. 1-11
本稿の目的はアメリカ,ミズリー州ストーン群の方言語彙調査についての報告である。ストーン群は州南部の州境に位置し,いわゆるオザーク山地にある。この地域は,もともと19世紀前半にアパラチア山脈地域から移住してきた開拓者によって開かれた地域であるから,Kurathのいう中部方言,中部・南部方言がその基調であった。しばらくの間方言調査が行われなかったこの地域でアンケートによる語彙調査を行ったところ,同郡における頻度の高い語彙の実態が分かるとともに,同郡語彙は今なお(1)中世部語彙とかなり異なっていること,(2)中部方言,中部・南部方言の色彩を強く残していることが分かった。