1991 年 21 巻 p. 13-25
人々が,自国の文化について改めて意識し始めるのは,外国の文化との接触が,そのきっかけとなることが多い。異文化の人々に,自国の文化について述べるには,客観的な説明が必要となる。この論文では,アメリカ合衆国に,その家族と共に一時滞在する日本人小学生低学年の「社会性」をテーマとしと取り上げる。異国での,日常生活と教育を経験する彼らの苦労は並大抵のものではない。この苦労を少しでも和らげ,異国での様々な経験に,より順応できる方法として,「社会性」の研究は,一つの重要な鍵となろう。ここでは,第一章で,「社会性」とは,どういうものか,第二章で,日米分化における「社会性の目標」を取り上げ,第三章で,日米の「社会性の比較」により,第四章で,これらの子供たちの「社会性習得における問題点」の一つの指摘し,それに対する「解決法」を提示する。