抄録
明治初年の土地法改革によって導入された日本の私的土地所有権制度は,さまざまな土地問題に直面することを通じて発展してきた。その制度変化の方向性は,土地所有制度に関する主体,客体および時間の座標軸の拡張によってとらえることができる。今や土地所有制度は,土地所有者と国・地方公共団体・地域コミュニティ・NGO/NPO・民間事業者等との連携を深め,対象地とその周辺環境との関係および都市と地方とのバランスを視野に入れた国土管理の機能を強め,長期的視野に基づく戦略的な計画と整合するものへと進化しつつある。それは,私的所有権制度をより効率的で持続可能なものにするとともに,土地所有権論の新たな展開を促すものと考えられる。