抄録
2004年新潟県中越地震は,1990年代以降に存在が明らかになった小平尾断層と六日町盆地西縁断層の北部が震源となり,断層線上に地表地震断層が出現した.しかし,活断層分布の情報が十分周知されていなかったことと,地表地震断層の変位量が大きくなかったことから,このような認識が徹底されていない.本稿では,地表地震断層の認定根拠を変動地形学の立場から明確にし,地表地震断層の出現が確実であることを最新の研究成果に基づいて解説する.防災上,「地震はどこでも起きる」ことを念頭に置く必要がある反面,地域ハザードを適切に評価する必要があり,変動地形学はこのことに大きく貢献している.