抄録
本研究の目的は,産地競争下にあるフランス山間地域の畜産において,地理的表示制度の認証を獲得したローカル産品が地域においてどのように生産され,いかにしてその伝統性や品質が保持されているのかを,ファングラ牛のブランド化過程より明らかにすることである.ファングラ牛は,地域の記憶にあったかつての伝統的飼育をあえて現代に導入し,伝統性と固有性を地理的表示範囲と伝統飼育に求めることでブランド化が実現した.極めてローカルな範囲で消費および流通するファングラ牛は,ラベルが乱立する現代において他地域においても示唆的な事例といえる.