イングランドでは,2011年の地域産業パートナーシップの組成以降,都市協定,成長協定,権限移譲協定,合同行政機構の組成,公選制市長などと立て続けに政策が展開されている.本稿では,地域産業パートナーシップ設立以降のイングランドにおける権限移譲政策の展開を明らかにし,地域がどのように国の政策を受容し,どのように変容していったかについて明らかにすることを目的とする.事例として取り上げた北東イングランドでは,ノース・オブ・タイン,北東,ティーズバレーの三つの合同行政機構が形成された.合同行政機構は,新市場主義において都市地域の集積効果を利用した経済開発のために生み出された新しいガバナンスであり,その管轄領域は,政府との協定により権限が積み重なられることにより正当化されている.