E-journal GEO
Online ISSN : 1880-8107
ISSN-L : 1880-8107
調査報告
国勢調査の回答状況における地域差とその推移―聞き取り率・コロナ禍・外国人に注目して―
山本 涼子埴淵 知哉山内 昌和
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 17 巻 2 号 p. 197-209

詳細
抄録

本研究では,近年の国勢調査の回答状況における地域差とその推移を俯瞰する.具体的には,各種の回答率と都市化度との関連を都道府県単位で分析した.その結果,(1)聞き取り率は2005年以降上昇しつつ地域差も拡大してきた一方,2020年調査(推計値)では都市–農村間の地域差は維持ないしは縮小する可能性があること,(2)コロナ禍によって減少した調査員回収はインターネット回答よりも郵送回答によって代替されており,農村部でその影響が相対的に大きかったこと,(3)外国人の不詳率は概して日本人よりも高い水準にあり,地域差も大きく拡大傾向にあることが示された.ここから,回答状況とその地域差の水準は指標や調査年,国籍(日本人/外国人)によって異なる一方,都市–農村間の地域差そのものは一貫してみられることも示された.これらがもたらす疑似的な地域差の影響に留意しつつ,国勢調査のデータを実証研究に活用していくことが期待される.

著者関連情報
© 2022 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top