本稿は,東京の美容専門学校生を対象とするアンケート調査の結果から,かれらの進路やキャリア選択とその空間構造における親同居の影響の一端を明らかにしたものである.回答した専門学校生は東京圏内に親と同居する者が多い.親と同居する者では,実家からの通学圏内の学校が自ずと選択されていた.一方で,親と同居しない者の多くは地方出身者であった.かれらが進学先を選択する際には,学校の所在地が東京であることや学校の知名度があることなどが影響していた.アンケート回答者の就職先希望地域は,情報の取得が容易で選択肢も多い,いわゆる美容院激戦区に集中していた.親と同居していない者の中には,いずれ実家地域へ戻ると考えている者もおり,その際には,地縁関係が重要であると捉えていた.すなわち,キャリアのステージによって重視される資本の種類が変化している.またかれらが想定するキャリアの空間構造は,美容師の再生産が大都市内のみならず実家地域とのつながりのなかでなされる可能性があることを意味する.