E-journal GEO
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調査報告
捕鯨とディアスポラ―アメリカにおけるポルトガル系集住地の偏在と定住の地理学―
矢ケ﨑 典隆高橋 昂輝
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2026 年 21 巻 1 号 p. 75-93

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抄録

アメリカ合衆国のポルトガル系人口は,マサチューセッツ,カリフォルニア,ハワイに偏在する.本稿は,19世紀に捕鯨に伴って展開したポルトガル人の移住と現代のポルトガル系人口の分布やその地域社会について,現地調査の成果を踏まえて考察することを目的とする.ポルトガル人,特にアゾレス諸島の出身者は,アメリカ合衆国の捕鯨に重要な役割を演じた.マサチューセッツでは,捕鯨基地を出港する遠洋捕鯨船に乗り組んだ.カリフォルニアでは,季節的な沿岸捕鯨に独占的な影響力を及ぼした.ハワイでは,捕鯨船を降りた人々がポルトガル系社会を築いた.捕鯨の時代が幕を下ろした後も,19世紀に形成されたポルトガル系人口の分布は基本的に変化しなかった.今日,ポルトガル系ディアスポラは,偏在する人口分布に加えて,捕鯨博物館,移民博物館,エスニック祝祭と宗教施設,エスニックレストラン・料理,壁画,エスニック組織などから確認することができる.

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