E-journal GEO
Online ISSN : 1880-8107
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調査報告
アムール川中流域における洪水の数値解析による湿地の遊水地機能に関する考察
室岡 瑞恵桑原 康裕春山 成子
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2012 年 6 巻 2 号 p. 138-148

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抄録
アムール川は主に中国とロシアの国境を流れる国際河川である.中流域では高い頻度で洪水が起こっているが,定期観測データがほとんど無く,洪水の実態は明らかにされてこなかった.本研究ではアムール川中流域のハバロフスクにおける降水量データと流量データを基に洪水の数値解析を行い,現地での聞き取り調査と照合した.さらに,地形分類図を作製した上でJERS-1/SARデータにより湿地図を作製し,遊水地としての機能を多く果たす地形を明らかにした.その結果,月降水量の頻度は指数分布に従っており,5・10・20・50・100年確率降水量を算出することができた.また,降水量と流量の関係はロジスティック曲線に従っており,理論上,降水量96.5mm/月を超えると河川氾濫が始まることがわかった.当該地域の地形は丘陵地,氾濫原,自然堤防,低位及び高位段丘に分類できた.この中で湿地が多く分布するのは氾濫原で,湿地面積と降水量に相関がみられ,遊水地としての機能を大きく果たしていることがわかった.
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© 2012 公益社団法人 日本地理学会
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