2019 年 1 巻 4 号 p. 283-288
症例は66歳の女性で,難治性潰瘍性大腸炎に対して腹腔鏡下大腸全摘術,回腸嚢肛門管吻合,予防的回腸双孔式人工肛門造設を施行した.縫合不全のために人工肛門が閉鎖できず,high output stomaの状態が持続していた.術後11カ月目に脱水症で入院し,入院2日目に一過性の意識障害,痙攣発作を認めた.脳疾患や心疾患は否定的で,血液生化学検査で低Mg,低Ca血症を認めた.Mg補充療法を行ったところ,これらの改善を認めた.しかし,Mg補充療法を中止した20日後に再び同様の電解質異常を伴う意識障害,痙攣発作を認め,再度Mg補充療法を行った.低Mg血症は腸管からの吸収障害によるもの,低Caは低Mg血症による二次性のものと考えた.吸収障害の病態は持続しており,一時的なMgの補充療法では再燃の可能性があるため,Mgの経静脈投与を継続する方針とした.退院後から現在まで週1回の外来でのMgの経静脈投与を継続中である.