学会誌JSPEN
Online ISSN : 2434-4966
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目次
原著
  • 吉沢 和也, 武市 尚也, 笠原 酉介, 渡邉 紗都, 根本 慎司, 赤尾 圭吾, 渡辺 敏, 足利 光平, 木田 圭亮, 明石 嘉浩
    2022 年 4 巻 1 号 p. 2-9
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/25
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    要旨:【目的】入院期心不全患者における入院中の食事摂取量と退院時下肢筋力の関連を明らかにすること.【対象および方法】対象は急性心不全で入院後,心臓リハビリテーションを実施した92例である.食事摂取量は全入院期間中の平均食事摂取量(kcal/日)および,食事摂取量を食事提供量(kcal/日)で除した平均食事摂取率(%)を算出した.下肢筋力は退院時に左右の膝伸展筋力を測定し,平均値を求め体重比を算出した.【結果】下肢筋力は食事摂取率(r=0.47)および食事摂取量(r=0.56)と正の相関を認め(各々p<0.05),重回帰分析の結果,退院時下肢筋力に有意に関連する因子として食事摂取量が抽出された(R=0.703,調整済みR2=0.476,p<0.05).【結論】入院期心不全患者における入院中の食事摂取量は,退院時下肢筋力と関連している.食事摂取量が少ない患者に対しては,改善に向けて多職種による包括的アプローチが早期から必要であると考えられた.

  • 衛藤 恵美, 今岡 信介, 森 淳一, 若林 秀隆
    2022 年 4 巻 1 号 p. 10-16
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/25
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    要旨:【目的】回復期リハビリテーション(以下,リハと略)病棟に入院した80歳以上の脳卒中患者の転帰に口腔機能がどのように影響するか明らかにする.【対象と方法】80歳以上の脳卒中患者241例を退院先が在宅か施設かで群分けし,基本属性,医学的属性,入院時および退院時の機能的自立度,口腔機能を後ろ向きに検討した.また転帰先への影響因子とカットオフ値を検討した.【結果】在宅群は,入院時ROAG得点は,有意に低値であり,入院時FIM運動項目,認知項目,退院時FIM総得点,FIM運動項目,認知項目は,有意に高値であった.多重ロジスティック回帰分析の結果,入院時ROAG総得点(オッズ比1.19)とFIM運動項目(オッズ比0.96)が在宅退院に影響を及ぼす関連要因として抽出された.またカットオフ値は,入院時ROAG総得点(≦13点)とFIM運動項目(≧30.1点)であった.【結論】入院時の口腔機能から,在宅退院が困難と予測される高齢脳卒中患者の抽出と目標設定に寄与する可能性がある.

症例報告
  • 桒原 尚太, 大野 耕一, 傳法 みわ, 森 多喜子, 市之川 正臣
    2022 年 4 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/25
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    要旨:症例は77歳女性.悪性リンパ腫に対して化学療法施行中,空腸起始部の小腸穿孔をきたし単孔式空腸瘻造設術を施行した.また,遠位端は腹腔内に空置したが,栄養管理目的のカテーテル空腸瘻を造設した.空腸瘻からの排液による脱水の補正と栄養管理目的にカテーテル空腸瘻から体内に再注入する腸液返還を行った.当初は中心静脈栄養と経腸栄養を併用し,最終的に,完全経腸栄養管理を確立した.栄養状態を含む全身状態の改善を図り,空腸瘻閉鎖術を行い,初回手術後89日目に退院した.消化管吻合を施行出来ずに空腸瘻を造設した症例では,消化管再建手術に向けて栄養状態改善を図る手段として腸液返還は有用である可能性がある.現段階では,コンセンサスが得られた方法・手技は確立されておらず,計画・実施に当たってはメディカルスタッフの協力体制が重要と思われる.空腸瘻造設症例における腸液返還に関する報告は少なく,今後の症例の蓄積が求められる.

  • 三松 謙司, 吹野 信忠, 上瀧 悠介, 斎野 容子, 伊藤 祐介
    2022 年 4 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/25
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    要旨:症例は94歳女性.食欲不振と嘔吐を主訴に受診し,誤嚥性肺炎の診断で入院した.上部消化管内視鏡検査で,混合型食道裂孔ヘルニアと幽門狭窄胃がんの診断となった.幽門狭窄による通過障害とCONUTスコア7点と中等度栄養障害を認めたため,胃内減圧と経腸栄養を目的としてW-EDチューブを挿入した.W-EDチューブによる栄養管理によりCONUTスコアは5点に改善した.患者,家族と医療者でShared decision makingを行い,患者の希望により手術の方針となった.開腹所見で腹膜播種を認めたが,緩和手術として胃全摘術と経空腸栄養カテーテル挿入術を施行した.術後経腸栄養を併用し,経口摂取も可能となったが,術後40日目に永眠した.W-EDチューブは,超高齢者の混合型食道裂孔ヘルニアに併発した幽門狭窄胃がんに対して,胃内減圧と経腸栄養が同時に施行できる有用なデバイスであった.

  • 白石 渉
    2022 年 4 巻 1 号 p. 30-34
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/25
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    要旨:症例は53歳,女性.脳血管障害の後遺症で全盲と精神症状が後遺し,施設で長期療養していた.経口摂取量が徐々に減少し,るい痩が悪化していた.意識レベルが徐々に低下し,血液検査では血小板数が減少しており,播種性血管内凝固の疑いで当院に救急搬送された.血液検査で総タンパク5.0g/dL,アルブミン2.6g/dLの低栄養に加え,血小板数3.2万/µLの血小板減少症を認めた.血小板減少症の原因として,血小板減少性紫斑病や膠原病,薬剤性,肝不全,播種性血管内凝固,血栓性血小板減少性紫斑病などの検索を行ったがいずれも陰性だった.リフィーディング症候群に留意しながら経腸栄養,次いで経口摂取を開始したところ,栄養状態の改善とともに血小板数も回復し,最終的に低栄養状態による血小板減少症と診断した.極度の低栄養状態では骨髄に膠様脂肪萎縮が出現し,造血能が低下,血小板減少症に至ることがあり,注意を要する.

研究報告
  • 斎藤 恵子, 太田 一樹, 長堀 正和, 藤井 俊光, 竹中 健人, 大塚 和朗, 井津井 康浩, 篠原 夏美, 松下 由佳子, 岡本 隆一
    2022 年 4 巻 1 号 p. 35-43
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/25
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    要旨:【目的】クローン病(Crohn’s disease;以下CDと略)の治療の進歩は目覚ましいことから,最近のCD患者にも過去の身体計測の報告が当てはまるのか,また,栄養の身体組成への関与について検討した.【対象および方法】比較的症状が安定している外来通院中のCD患者72名と対照群52名に対して,体組成分析を含む身体計測並びに栄養評価を行った.【結果】CD群は対照群と比較し,身長や体重,BMI,握力などの身体計測値は保たれていた.一方,筋肉量や四肢骨格筋量指数(SMI)は低値を示した.CD群男性は,筋肉の指標と位相角との間に正の相関を,細胞外水分比との間に負の相関を示した.女性は,位相角と正の相関を示した.CD群の位相角や細胞外水分比は,血液生化学所見等の栄養の指標とも関連が認められた.【結論】外来通院中のCD患者の栄養評価は,体組成分析を含めた計測が望ましい.また,CD群の筋肉量やSMI低下の機序に,栄養が関与している可能性がある.

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