学会誌JSPEN
Online ISSN : 2434-4966
原著
再発大腸がんに対する化学療法後の予後と骨格筋の変化との関連についての検討
花本 尊之
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2022 年 4 巻 4-5 号 p. 167-173

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Abstract

【目的】大腸がん根治手術後再発に対する化学療法後の予後と骨格筋の変化との関連を検討した.【対象と方法】2010年4月から2021年3月まで,大腸がん根治手術後再発に対する化学療法が終了となった50例を対象として,化学療法後の予後と骨格筋比率(化学療法開始時と終了時の骨格筋面積の比率)および臨床病理学的因子との関連を解析した.【結果】単変量解析では,年齢および骨格筋比率減少,prognostic nutritional index(PNI)低下,modified glasgow prognostic score(mGPS)2,経口摂取低下が有意に予後不良であった.多変量解析では,骨格筋比率減少が独立した予後不良因子であった(ハザード比 0.94,p = 0.017).化学療法終了後90日生存率は,骨格筋比率90.5%未満で0.26[95% confidence interval(CI);0.10–0.47],90.5%以上で0.87(95%CI;0.68–0.95)であり,ログランク検定では90.5%未満で予後不良であった(p < 0.001).【結論】骨格筋比率は化学療法後の予後と関連し,化学療法終了後90日生存予測の指標としての有用性が示唆された.

Translated Abstract

Background: Sarcopenia affects the prognosis of patients with cancer. The goal of the study was to investigate the relationship of skeletal muscle loss with prognosis after chemotherapy for recurrence after radical surgery for colorectal cancer.

Methods: The subjects were 50 patients who underwent chemotherapy due to recurrence after radical surgery for colorectal cancer from April 2010 to March 2021 and received best supportive care after the end of chemotherapy. Associations of skeletal muscle loss and clinicopathological factors with the post-chemotherapy prognosis were investigated.

Results: Univariate analysis showed significant relationships of age, lower skeletal muscle change ratio, decreased PNI, mGPS 2, and reduced oral intake with poorer prognosis. In multivariate analysis, a lower skeletal muscle change ratio was an independent poor prognostic factor (hazard ratio 0.94, p = 0.017). In Kaplan-Meier analysis, the 90-day survival rates after chemotherapy were 0.26 [95% confidence interval (CI): 0.10–0.47] and 0.87 (95% CI: 0.68–0.95) for skeletal muscle change ratios of <90.5% and ≥90.5%, respectively. A log rank test showed a significant relationship between skeletal muscle change ratio <90.5% and a poor prognosis (p < 0.001).

Conclusion: The skeletal muscle change ratio is associated with prognosis after chemotherapy for recurrent colorectal cancer and may be a useful indicator for 90-day survival.

目的

サルコペニアとは骨格筋量の減少や質の低下により筋力が低下した状態であり,加齢による原発性サルコペニアと,悪性腫瘍や炎症性疾患,運動量の低下,栄養摂取不良などが関与する二次性サルコペニアに大別される.サルコペニアは,がん患者の予後に影響するとされ,大腸がんにおいても,手術や化学療法の治療経過や生存期間に影響すると報告されている13).がん悪液質は,the European Palliative Care Research Collaborativeガイドラインでは4),著しい筋組織の減少を特徴とする,従来の栄養サポートで改善することが困難な,進行性の機能障害をもたらす複合的な代謝症候群であると定義され,治療抵抗性となり予後3カ月未満のがん終末期と考えられる状態は不可逆的悪液質とされる.また,死亡の3カ月以上前からの緩和ケア科紹介により終末期のQuality of Life(以下,QoLと略)の改善が期待できるとされ5),3カ月以上ホスピスで過ごした患者は終末期のQoLが良好であったとの報告もみられるが6),予後予測が3カ月前後の時期にホスピスに紹介された症例の実際の余命はおよそ半分であり,予後予測は難しいと考えられている7)

がん終末期の予後予測の指標として,palliative prognostic index8)(以下,PPIと略)やprognostic nutritional index9)(以下,PNIと略),modified glasgow prognostic score10)(以下,mGPSと略),controlling nutritional status11)(以下,CONUTと略)などが用いられるが,骨格筋量に着目した報告は少なく,予後予測指標としての有用性も定まっていない.

今回,大腸がん根治手術後再発に対する化学療法後にbest supportive care(以下,BSCと略)となった症例の予後と骨格筋量との関連と,化学療法終了後90日生存の予後予測指標としての有用性を検討した.

対象と方法

1. 対象

2010年4月から2021年3月まで,当院で大腸がんに対する根治手術後に再発をきたし化学療法を施行した症例から,化学療法終了後にBSCとなった50例を対象とした.本研究は苫小牧市立病院倫理委員会で承認が得られた後(管理番号;迅2021-12),病院ホームページを用いたオプトアウトを行って実施した.

2. 方法

画像診断ワークステーション(SYNAPSE VINCENT)を用いて,化学療法施行前および終了時の直近に施行したCT検査より臍レベルの皮下脂肪面積(subcutaneous fat area;以下,SFAと略)と内臓脂肪面積(visceral fat area;以下,VFAと略),VFAとSFAの比(VFA/SFA ratio;以下,VSRと略)および第3腰椎レベルの骨格筋面積を測定した.骨格筋面積を身長の二乗で除した骨格筋指数(skeletal muscle index;以下,SMIと略)を算出し,化学療法開始時と終了時の骨格筋面積の比率を骨格筋比率とした.

また,予後予測指標として,化学療法終了時の直近に施行された採血検査から,PNI(10 × 血清アルブミン(g/dL)+ 0.005 × 総リンパ球数(/mm2)),neutrophil/lymphocyte ratio(以下,NLRと略)(総リンパ球数/総好中球数),platelet/lymphocyte ratio(以下,PLRと略)(血小板数/総リンパ球数),mGPS(mGPS 0;CRP ≤ 0.5 mg/dLかつ血清アルブミン ≥ 3.5 g/dL.mGPS 1;CRP > 0.5もしくは血清アルブミン < 3.5.mGPS 2;CRP > 0.5かつ血清アルブミン < 3.5)を算出した.

化学療法終了の理由は,化学療法不応,患者希望,認知症の進行を含むperformance status(以下,PSと略)の低下,入院を要する経口摂取の低下,に分類した.

3. 統計学的手法

連続変数は中央値(四分位範囲)で記述した.化学療法終了後生存期間に対する影響は,COX比例ハザードモデルで解析し,連続変数の比例ハザード性の検定はシェーンフィールド残差に対するχ2検定を用いた.予後予測指標の評価において,化学療法終了後90日生存に対する骨格筋比率の至適閾値はROC曲線の解析で設定し,生存率の推定はカプラン・マイヤー法を,生存率の差の検定はログランク検定をそれぞれ用いた.すべての解析の有意水準は5%に設定し,両側検定を行った.なお,統計処理にはEZR version 1.52を使用した12)

結果

対象症例50例の内訳は,女性25例,男性25例で,年齢は71.1歳(64.5–77.5)であった.術後無再発期間および化学療法施行期間,化学療法終了後生存期間は,それぞれ345日(168–553)および480日(235–730),138日(89–207)であった.三次以降の化学療法は26例に施行されていた.化学療法開始時および終了時のSMIは,それぞれ46.9(38.5–52.5)および40.5(35.7–47.1)で,骨格筋比率は91.8%(84.4–95.5)であった.化学療法終了時のSFAおよびVFA,VSRは,それぞれ99.5 cm2(45.0–195.5)および60.5 cm2(29.1–104.5),0.80(0.47–1.13)であった.また,化学療法終了時の検査では,PNI 38.9(34.8–43.4),NLR 3.55(2.03–5.34),PLR 191(139–252)であり,mGPS 0–1は25例,mGPS 2は25例であった.化学療法終了の理由は,PSの低下ないしは認知症の進行が28例,化学療法不応が15例,入院を要する経口摂取の低下が14例,患者希望が7例であった(重複あり)(表1).

表1. 患者背景
症例数/中央値
(四分位範囲)
性別
 女性 25
 男性 25
年齢(歳) 71.1(64.5–77.5)
術後無再発期間(日) 345(168–553)
化学療法施行期間(日) 480(235–730)
化学療法終了後生存期間(日) 138(89–207)
三次以降の化学療法
 なし 24
 あり 26
化学療法開始時SMI 46.9(38.5–52.5)
化学療法終了時SMI 40.5(35.7–47.1)
骨格筋比率(%) 91.8(84.4–95.5)
化学療法終了時指標
 SFA(cm2 99.5(45.–195.5)
 VFA(cm2 60.5(29.1–104.5)
 VSR 0.80(0.47–1.13)
 PNI 38.9(34.8–43.4)
 NLR 3.55(2.03–5.34)
 PLR 191(139–252)
 mGPS
  0–1 25
  2 25
化学療法終了の理由(重複あり)
 PS低下・認知症の進行 28
 化学療法不応 15
 経口摂取低下 14
 患者都合 7

Abbreviations: SMI, skeletal muscle index; SFA, subcutaneous fat area; VFA, visceral fat area; VSR, VFA/SFA ratio; PNI, prognostic nutritional index; NLR, neutrophil/lymphocyte ratio; PLR, platelet/lymphocyte ratio; mGPS, modified glasgow prognostic score; PS, performance status

化学療法終了後生存期間をアウトカムとしたCOX比例ハザードモデルによる単変量解析および多変量解析を施行した(表2).単変量解析では,年齢(hazard ratio;以下,HRと略 0.97,p = 0.025)および骨格筋比率減少(HR 0.91,p < 0.001),PNI低下(HR 0.95,p = 0.008),mGPS 2(HR 1.84,p = 0.045),経口摂取低下(HR 2.12,p = 0.025)が有意に予後不良であった.単変量解析で有意であった因子(年齢および骨格筋比率,PNI,mGPS 2,経口摂取低下)を独立変数とした多変量解析では,骨格筋比率減少が独立した予後不良因子であった(HR 0.94,p = 0.017).

表2. COX比例ハザードモデルによる単変量および多変量解析
  単変量解析   多変量解析  
HR(95%CI) p value HR(95%CI) p value
性別;男性(vs女性) 1.30(0.72–2.34) 0.366
年齢(歳) 0.97(0.95–1.00) 0.025 0.98(0.95–1.01) 0.177
化学療法施行期間(日) 1.00(1.00–1.00) 0.309
三次以降の化学療法あり 1.04(0.57–1.88) 0.901
化学療法開始時SMI 0.99(0.97–1.02) 0.656
化学療法終了時SMI 0.97(0.94–1.01) 0.115
骨格筋比率(%) 0.91(0.87–0.96) <0.001 0.94(0.89–0.99) 0.017
化学療法終了時指標
 SFA(cm2 1.00(0.99–1.00) 0.142
 VFA(cm2 1.00(1.00–1.01) 0.694
 VSR 1.00(0.98–1.03) 0.778
 PNI 0.95(0.91–0.99) 0.008 0.96(0.91–1.02) 0.161
 NLR 1.01(0.94–1.08) 0.832
 PLR 1.00(1.00–1.00) 0.413
 mGPS 2(vs 0–1) 1.84(1.02–3.35) 0.045 1.00(0.42–2.39) 0.994
化学療法終了の理由(重複あり)
 PS低下・認知症の進行 1.00(0.54–1.84) 0.994
 化学療法不応 1.17(0.61–2.23) 0.639
 経口摂取低下 2.12(1.10–4.07) 0.025 1.94(0.93–4.05) 0.076
 患者都合 0.75(0.29–1.93) 0.554

Abbreviations: CI, confidence interval, SMI, skeletal muscle index; SFA, subcutaneous fat area; VFA, visceral fat area; VSR, VFA/SFA ratio; PNI, prognostic nutritional index; NLR, neutrophil/lymphocyte ratio; PLR, platelet/lymphocyte ratio; mGPS, modified glasgow prognostic score; PS, performance status

シェーンフィールド残差に対するχ2検定を用いた連続変数の比例ハザード性の検定は何れもp ≥ 0.05.

予後予測指標としての骨格筋比率の評価のため,化学療法終了後90日未満で追跡終了となった1例をのぞく49例から,化学療法終了後90日生存をアウトカムとした骨格筋比率のROC曲線を作成すると,AUCは0.864[95% confidence interval(以下,CIと略);0.762–0.965]で,骨格筋比率の至適閾値は90.5%であり(図1),これをもとに90.5%以上群(N = 30),90.5%未満群(N = 19)にわけて比較した.

図1.骨格筋比率のROC解析

カプラン・マイヤー法による化学療法終了後90日生存率および生存期間中央値は,骨格筋比率90.5%未満群0.26(95%CI;0.10–0.47)および56日(95%CI;16–89),90.5%以上群0.87(95%CI;0.68–0.95)および216日(95%CI;144–404)であり,ログランク検定では骨格筋比率90.5%未満群で有意に予後不良であった(p < 0.001)(図2).また,化学療法終了後90日生存に対する骨格筋比率90.5%の診断精度0.82(0.68–0.91),90日以上生存に対する感度0.86(95%CI;0.68–0.96),90日未満生存に対する特異度0.75(95%CI;0.51–0.91),90日以上生存の的中率0.83(95%CI;0.65–0.94),90日未満生存の的中率0.79(95%CI;0.54–0.94)であった(表3).

図2.骨格筋比率により群別化したカプラン・マイヤー法による生存率曲線
表3. 骨格筋比率と化学療法終了後生存期間のクロス集計表
化学療法終了後生存期間
<90日 ≥90日
骨格筋比率 ≥90.5% 5 25
<90.5% 15 4
 
95% confidence interval
感度(90日以上生存) 0.86 (0.68–0.96)
特異度(90日未満生存) 0.75 (0.51–0.91)
90日以上生存的中率 0.83 (0.65–0.94)
90日未満生存的中率 0.79 (0.54–0.94)
診断精度 0.82 (0.68–0.91)

考察

今回の検討では,大腸がん術後再発に対する化学療法開始時と終了時の骨格筋の比率が,化学療法後の独立した予後予測因子であり,骨格筋比率90.5%以上で化学療法終了後90日以上の予後が期待された.

サルコペニアは大腸がん治療において,術後合併症や術後入院期間,全生存期間,無再発生存期間,化学療法の治療成績などに負の影響を与えるとされる13).本研究では,化学療法終了後の予後に対して,化学療法期間や後方治療は有意な影響を与えていなかったが,化学療法開始時と比較した化学療法終了時の骨格筋の減少は独立した予後不良因子であった(HR 0.94).転移性大腸がんに関して,Miyamotoらは化学療法開始3カ月以内に5%以上の骨格筋の減少がみられた場合の全生存期間はHR 2.079と不良であり14),Susanneらは化学療法開始3カ月後の骨格筋が9%以上減少した場合の1年生存率は17%であるが,9%未満では49%であったと報告している15).また,Muhammetらは転移性大腸がんに対する後方治療としてのレゴラフェニブないしはトリフルリジン・チピラシル塩酸塩の投与において,化学療法開始前後の骨格筋量を比較して2%以上の減少が見られた場合の予後は不良であると報告しており16),切除不能進行再発大腸がんに対する治療過程において,骨格筋の減少は多くの局面で予後不良と考えられる.

がん悪液質は前悪液質,悪液質,不可逆的悪液質の3つのステージに分類される4).前悪液質および悪液質では集学的な早期介入で悪液質の改善が期待できるが,不可逆的悪液質は治療抵抗性であり,予後は3カ月以内と想定される.本研究では,化学療法前後での骨格筋比率により予後が予測され,骨格筋比率90.5%以上での90日以上生存予測の的中率は0.84,生存期間中央値は216日であった.骨格筋比率90.5%以上であれば比較的長期の予後が得られる可能性が高く,前悪液質および悪液質の治療に準じて17),薬物療法や運動療法,栄養療法など集学的治療の積極的な導入が勧められる.薬物療法としてはグレリン様作動薬18)や選択的アンドロゲン受容体モジュレータ19)などの効果が期待される.グレリン様作動薬であるアナモレリンは,脳下垂体からの成長ホルモン分泌を介して,肝からのinsulin-like growth factor 1(IGF-1)分泌を増加させ,筋肉の蛋白合成を促進させる20).また,国内単群試験において,アナモレリン投与後,大腸がん,胃がん,膵がんのがん悪液質患者の63.3%に除脂肪体重の維持・増加がみられており21),本邦では大腸がんにおける悪液質に対して保険収載されている.一方,不可逆的悪液質は栄養投与に反応しない段階であり,積極的な栄養投与は控えることが推奨されているが,東口は,不可逆的悪液質の診断は困難なことが多いためtime-limited trialが推奨されるとしている22).Sophieらは転移性大腸がんに対する化学療法による骨格筋量の低下は,平均4.1カ月の化学療法休止により+1.2 kgの回復がみられたと報告しており23),高度の骨格筋減少がみられる場合であっても,一定期間の集学的治療後の効果判定も選択肢になりうると考えられる.

ホスピスケアは死亡の2–3カ月前から受けることが推奨されているが24),臨床的な経験に基づく主観的な予後予測は楽観的になりがちであり,療養の目的が果たせない,あるいは療養の目標が見直される症例がたびたび経験されるとの報告もみられる25).Kimらは,腫瘍内科外来患者に対して,Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG) PSおよび化学療法施行の有無,食欲不振,リンパ球数,lactate dehydrogenas(LDH),上腕周囲長を使用した3カ月生存予後モデルを作成し,感度,特異度,診断精度がそれぞれ75.6%,83.4%,81.8%であったと報告している26).本研究での骨格筋比率90.5%を用いた化学療法終了後90日生存予測の感度,特異度,診断精度はそれぞれ86%,75%,82%であり,ほぼ同程度の予後予測能を有しており,骨格筋比率90.5%未満の90日未満生存予測の的中率は0.79,生存期間中央値は56日であり,骨格筋比率90.5%未満であれば,ホスピスケアへの早急な紹介や移行が勧められる.また,状況によっては,本研究での骨格筋比率はさらに次ライン化学療法をすすめる根拠を示すツールとして用いることが可能かもしれない.

PPIやKimらの予後予測モデルではPSなどの主観的指標を含む複数の指標が必要とされるが,骨格筋比率は,骨格筋量の計測に際して専用ソフトを要するものの,化学療法開始時と終了時のCT検査のみから算出される客観的な数値での評価が可能である.また,大腸がん手術後のサーベイランスや化学療法の効果判定を目的に施行されたCT検査を活用しており,患者に新たな負担を強いることがないことも利点である.

今回の検討には以下のlimitationがある.1.単施設の少数例による探索的研究であり,一般化には更なる症例の集積を要する.2.診療録の体重記録不備により,体重やbody mass indexを用いた評価を施行しえなかったが,今後はより簡便な指標との比較も課題となる.3.化学療法施行中あるいは終了後の栄養サポートを含む集学的治療は主治医の判断によっているため,症例ごとに介入の差が大きく,集学的介入に関しての統計学的検討は困難であった.今後,集学的介入によるサルコペニアやがん悪液質,予後への影響の評価を要すると考えられる.

結論

骨格筋比率は大腸がん根治手術後再発に対する化学療法後の予後と関連し,化学療法終了後90日生存予測の指標としての有用性が示唆された.

 

なお,この論文の要旨は第122回日本外科学会定期学術集会(2022年4月,熊本)で発表した.

 

本論文に関する著者の利益相反なし

引用文献
 
© 2022 一般社団法人日本臨床栄養代謝学会
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