学会誌JSPEN
Online ISSN : 2434-4966
学会参加記
一般社団法人日本栄養治療学会フェローシップ賞受賞者学会参加記 ESPEN2025(欧州静脈経腸栄養学会)参加報告
嶋津 小百合
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2026 年 8 巻 1 号 p. 29-30

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 フェローシップ賞受賞からESPEN2025までの道のり

2021~2023年5月の第38回まではCOVID-19の影響を受けて,学会の会期が従来2月ではない時期に開催され,感染が落ち着いたということで第38回開催約9カ月後の2024年2月第39回日本臨床代謝栄養学会が例年通りの開催となりました.現地で久しぶりに会う友人もいて親交を深めることができた学会でした.私がフェローシップの初回の応募は2017年ですので7年ぶり2度目の挑戦で受賞させていただきました.初回の挑戦は,第32回岡山の時でした.初フェローシップ登壇で超緊張の上,厳しい質問の嵐に立っているのが精一杯で「中鎖脂肪酸(medium-chain triglyceride;以下,MCTと略)は効果があると思います」としか言えない状態で砕け散ったのを今でも鮮明に覚えています.それ以来フェローシップ = 怖いということで逃げておりました.上司からこの演題はフェローシップに出すようにと言われた時もずいぶん悩みましたが,忙しい中ご指導いただいている上司にはyesとしか言えずエントリーしました.当日は,今回も超がつくほど緊張しましたが,7歳年を取った分,年齢的にも最後のチャレンジだからと開き直り登壇しました.私は高齢者の低栄養や食事摂取不良の方の栄養強化としてMCTやプロテインを軟飯に混ぜてエネルギーアップを続けています.今回の研究内容は,初回と同様にMCTは用いて認知レベルとの関連を観た後ろ向き研究を行いました.認知レベルとの関連を研究した理由は,MCTがアルツハイマー型認知症の認知機能に関与するかもしれないという論文結果をみたからです.実際の臨床現場においても認知レベルが上がっていると思える機会に遭遇します.例えば,会話ができるようになった,俳句を考えることができた,人の顔を認識できるようになったなどいろいろな改善場面に遭遇していることが研究のきっかけでした.結果としてはMCTと認知レベルの改善は関連しており,その他MCTの使用は運動面や嚥下面の改善にも関連がありました.私たちは,すでにMCTと脳卒中嚥下障害の関連につきましては,MCTを使用することで,体重増加,経口移行率,在宅復帰率などの改善効果を論文にて報告しています.今回,新たに認知レベルの関与を研究して,前回と同様に嚥下障害とFIM運動の関連も示され,改めて前回の研究結果の妥当性を示すことができました.この内容をESPEN2025にてポスター発表をしてまいりました.この研究が論文としてアクセプトされたのがチェコへ行く1週間前でしたのでポスターにはQRコードを示すことができ,私のおぼつかない英語でも「詳しくはこれをみてください」とQRコードを指し示すことで何とか質問を乗りこえることができました.

 ESPEN2025に参加して

今年のESPEN2025はチェコ共和国で(2025/9/13–16)開催されました.ヨーロッパの街並みはどこの国に行っても思いますがとても素晴らしく感動しました.一人旅の私は,このために買い替えた新しいスマホが相棒のはずが,使いこなせず失敗の繰り返しでした.やっとプラハの空港へ到着,会場へむかうための地下鉄を乗り間違えかけたり,地下鉄のエスカレーターの流れる速度に驚きながらもやっと会場にたどり着きました.JSPEN学術集会もかなりの参加者ですが,ESPENも多くの方が参加されていました.ブレイクタイムのときのスイーツやサンドウィッチの美味しさに感動でした.ESPENでもフェローシップのコンテストがメインホールで開催されており,どの研究者の方も素晴らしいプレゼンテーションでした.その中でも当時の私のように緊張されているのが伝わってくる方もおられ,なぜか親近感が増し勝手に応援していました.今回は日本からも多くの方がESPENに参加されておりLife-Long Learningを学びに来た方や演題を発表するための参加の方,とくに今回は日本からの演題発表も過去一番多いと聞きました.口演発表にて英語でプレゼンテーションされている発表やポスター発表でディスカッションされている姿,いずれも皆さん素晴らしかったです.

チェコ共和国の感想としては,600年動いている天文時計や15分毎にしかけがある時計など時間を大事にしている国という感想です.また,人口はさほど多くないにもかかわらず,公共インフラがしっかり整備されている印象を受けました.時間の大切さと限りある時間をこれからどう生きるかをあらためてこの街並みを歩きながら考えるいい機会をいただきました.この経験を大切にして自分の時計の針が止まるまで精一杯前進を続けようと心に誓って帰国しました.

 謝辞

最後にこのような機会を与えていただきました日本栄養治療学会理事長,フェローシップ選考ワーキンググループの先生方,関係者の皆様,研究を常にご指導いただいている吉村芳弘先生,研究仲間でもあるサルコペニア低栄養研究センタースタッフ全員にこの場を借りて心より厚く御礼申し上げます.

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