東邦大学医療センター大森病院
2. 研修期間2025年9月29日~10月3日
二本松病院に新卒で入職しNutrition Support Team(以下,NSTと略)活動歴14年目となり,40時間の実地修練研修も自施設で修了しました.NST活動を牽引していく立場になり,いろいろな課題に直面していました.また,長年NST活動を引っ張ってこられた医師の退職にあたり,内科医師2名が入り新体制となったことで,他施設のNST活動がどのように行われているか興味を持つようになりました.その中でJSPENの国内施設研修支援制度があることを知り,自己研鑽のため他施設へ研修をし,当院のNST活動をさらに充実したものにしたいと考え,この制度を利用し東邦大学医療センター大森病院へ研修参加をさせて頂くことになりました.
このような長期研修に参加するのが初めてであり,とても緊張して初日を迎えました.鷲澤先生をはじめ,スタッフの皆さんが温かく迎え入れてくれとても嬉しかったです.
東邦大学医療センター大森病院は,許可病床数910床(うち一般880床,精神30床)の特定機能病院であり,救命救急センターの三次救急病院として高度先進医療を提供しています.特徴的なのは,栄養治療センターがあり栄養管理,NST活動の中心を担っています.医師,看護師,薬剤師,管理栄養士,事務員が常駐しており,低栄養患者や今後低栄養になる可能性のある患者に対し,多方面からサポートをしています.
研修の初めに鷲澤先生より「どのような目的のために研修に来たのか?他施設を見て,自分達のNST活動や仕事が間違っていなかったと思ってもらえればいい.」という言葉を頂き,研修を通して何か持ち帰りたい,良いものを取り入れなくてはいけないという気持ちが強かったため少し肩の荷が下りました.他施設の活動内容に興味を持ち始めたのは,研修を通して当院で行っているNST活動や管理栄養士としての業務について正しいのか,改善が必要なのか確認作業をしたかったのだと気づかされました.
1日目の研修は,午後の回診前の症例検討およびカンファレンスを見学しました.患者一人一人に対して時間をかけ適切な栄養療法について話し合っていたのが印象的でした.大森病院のNST回診は週3回行っており,午後からは実際に回診に同行させて頂きました.患者の状態を確認し栄養療法の方向性を決めていました.その他に鷲澤先生の胃瘻造設や胃瘻交換を見学しました.当院でも胃瘻造設の見学をしたことがありましたが,近くで細かく教えて頂きとても分かりやすく貴重な体験でした.また,大森病院のスクリーニングの方法を教えて頂きました.今まではSubjective Global Assessmentを使用していたようですが,Global Leadership Initiative on Malnutrition基準の導入によって,65歳以上はMini Nutritional Assessment Short-Formを使用し,65歳未満はMalnutrition Universal Screening Toolを用いてスクリーニングを行っているそうです.
2日目は,回診前に今回対象となる患者と新規依頼のあった患者の介入の必要性があるか症例検討およびカンファレンスを午前中に行い,午後からは回診に同行をさせて頂きました.回診する科が変われば,栄養の課題も異なり多職種が意見を持ち寄り課題の解決に取り組む姿勢に感銘を受けました.さらに栄養部の管理栄養士に集中治療室での仕事内容やAmyotrophic Lateral Sclerosis患者の栄養管理について教えて頂き,専門分野で働く同職種の話を聞くことができとてもいい経験でした.
3日目は,今回の研修を利用して大森病院の栄養部を訪問させて頂き,栄養指導や厨房の見学,Oral Nutritional Supplementsの種類や使い方についても見学しました.「患者ファースト・患者さんのために」を心がけており,個別献立を多く取り入れ,手作りにもこだわり,食数が多い中クックサーブで給食管理をされていることに驚きました.ミキサー食に関しても見た目が同じようになってしまい何を食べているか分からなくなりがちですが,模様や絵を描いて食の楽しみを提供する心配りに感心させられました.このミキサー食アートについては当院でも導入してみたいと思いました.
また,薬剤部も訪問させて頂き,内服薬および注射薬の調剤や抗がん剤の調製作業を見学しました.オートメーション化が進んでいる一方,手作業のところも多い印象でした.
4日目は,嚥下チームの活動を見学し,カンファレンスの様子や回診の際ベッド上でVideoendoscopic Evaluation of Swallowing(以下,VEと略)検査をする様子を拝見しました.その場で嚥下の状態を確認できるのはとても良く,食事開始を含め,患者に適した栄養のサポートがいち早くできるのがとてもいいと思いました.
午後からはNST回診の参加と胃瘻造設を見学しました.患者の状態に合わせ,造設方法を2種類(イントロジューサー変法,プル法)見せて頂きました.胃瘻造設の前には必ずVE検査を実施し,嚥下状態を確認することを徹底し「胃瘻造設時嚥下機能評価加算」を取るよう病院全体で意識していました.当院も加算の算定はしていますが,病院の周知不足もあり他院からの転院で胃瘻造設が決まっている場合等VE検査が抜けてしまうことがあります.体制の強化が課題だと感じました.
最終日には再び,栄養部の栄養指導とアセスメントについて聞き,低栄養患者の抽出を確実に行う方法を聞くことができました.
5日間という長期研修を快く受けて頂き,私の知りたい内容,見学したい事柄をすべて盛り込んでもらえ,とても有意義な研修をできたことに感謝しています.研修を通して,当院も少ないスタッフながらNST活動を頑張っているなと感じると同時に取り入れていきたい内容を再認識することができました.より充実した活動にするためには,スタッフのレベル向上やNST介入増加への体制作りが重要だと思いました.そのためにも今回のような研修はとても意義のあることだと感じました.長く同じ施設で働いているとなかなか長期研修に行く機会もなく,同じ考え,雰囲気に慣れてしまうのが現状です.この体験を皆にも伝え,私以外のスタッフもぜひ研修に参加してほしいと思いました.
また管理栄養士としては,これからも勉強を重ね知識の向上をしていかなければいけないと感じました.
「患者のためにできること」を心情に行動することは,どの施設でも同じであることを実感し患者にとって最良の治療提供ができる一助になるよう,今後も大切にしていきたいことです.
最後に今回の研修にあたり鷲澤先生をはじめ,栄養治療センターの皆様,大森病院のスタッフの皆様には大変お世話になり心から感謝申し上げます.そして研修の機会を頂いたJSPENの皆様にも感謝申し上げます.この研修を糧に今後の業務に活かし精進してまいります.