学会誌JSPEN
Online ISSN : 2434-4966
報告記
2025年度国内施設研修支援制度報告記
米満 沙織
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2026 年 8 巻 1 号 p. 37-38

詳細

 研修概要

1. 研修施設名

岡山済生会総合病院

2. 研修期間

2025年9月29日~10月3日

 報告

私は今年度より緩和ケアチームの一員としての活動に参加しています.緩和ケアチーム回診対象患者の中には外来でがん化学療法を受けていた患者が倦怠感や疼痛など様々な理由により入院されてくる人も含まれます.入院後,終末期を迎える方もいらっしゃいますが,体調が回復された場合には退院され,外来管理へ移行される方もいます.現在,外来がん化学療法患者に対する栄養食事指導は行っていないこともあり,入院中は栄養管理を実施していますが外来での管理が乏しいと感じています.今回,本研修に参加させていただいたのは当院で今後,がん化学療法に関わる栄養管理に力を入れていきたいと考えていたためです.研修先である岡山済生会総合病院はがん化学療法の栄養管理についての研修をしており,今後の業務に役立てることができると思い,研修を希望させていただきました.

今回,外来がん化学療法の栄養食事指導を中心に研修をさせていただきました.がん化学療法患者の栄養食事指導では“食べられていること”を意識して指導を行っているとのことであり,他の慢性疾患の栄養食事指導との違いを感じました.患者個々で化学療法の影響は異なりますが,1週目には食べられない時期があっても2~3週目には食欲が回復するなど栄養食事指導を継続的に行うことで,患者それぞれの体調変化の波やその時の食事のとり方が分かってくるとのことでした.患者の特性を知り,栄養食事指導を行うことで“いつもと違う”ことや“体調の変化”に気付くことができるのだと感じました.見学させていただいた患者の多くが,工夫をしながらも食事を摂取できており,体重を維持されている印象でした.“食欲が低下してから介入する”のではなく“早期からの介入”により小さな変化に気づき,食事内容や栄養補助食品の提案がなされているため,安定した食事摂取に繋がり,継続した化学療法の実施に繋げることができていると感じました.また指導時には,客観的指標としてInBody測定,Council on Nutrition Appetie Questionnair,Patient Generated-Subjective Global Assessment,握力測定が実施され,定期的なフォローを行っていました.客観的指標を用いることで管理栄養士・患者ともに振り返りができ,他職種とも共通認識をもっていました.今後当院でも客観的指標を積極的に活用していく必要性を感じました.

また,栄養指導だけではなく医師の診察も見学させていただきました.医師診察で特に印象に残ったのは診察時に認知機能の低下を感じた場合や社会活動性の低下を感じた場合には積極的に必要医療機関への診察依頼,デイサービスなどの社会活動提案をされていたことです.化学療法を継続できない理由はがんの進行や化学療法によるものだけでないこともあり,患者の環境を整えること,社会性を持たせることで化学療法継続に繋がる例が多くあるとのことでした.家族と一緒に来院を依頼している患者もおり,患者家族が一緒に医師診察,栄養食事指導,薬剤指導などを受けることで家族が患者サポート意識を強く持つきっかけになっていると感じました.患者の周辺環境の整備の必要性は感じていましたが,必要かつ早いタイミングで整えることが化学療法継続には必要であると再認識することができました.

今回の研修では他にも医師・看護師,入院サポートセンターやメディカルアシスタントなど他職種との連携があって管理栄養士ががん患者への介入ができていると感じました.緩和ケアカンファレンスや療育病院見学など多岐にわたる部分を見学させていただき,今回の研修で学んだこと,感じたことを自施設での取り組みに生かしていきたいと思います.

最後になりましたが,今回,このような貴重な研修機会をくださった日本栄養治療学会のみなさま,また,忙しい中で研修を受入れ,指導してくださった犬飼道雄先生,大原秋子先生,坪井里美先生をはじめ栄養科の皆様には感謝申し上げます.

 

掲載している写真は,被写体となった方から掲載への同意を得ています.

写真1. 栄養食事指導の研修風景
 
© 2026 一般社団法人日本栄養治療学会
feedback
Top