学会誌JSPEN
Online ISSN : 2434-4966
報告記
2025年度国内施設研修支援制度報告記
三浦 功太郎
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2026 年 8 巻 1 号 p. 39-40

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 研修概要

1. 研修施設名

聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院

2. 研修期間

2025年10月6日~10日

 報告

今回,聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院にて実施されたNutrition Support Team(以下,NSTと略)研修に参加し,病院内における多職種連携の重要性と,各専門職が果たす役割について多くの学びを得ることができました.特に,医師,管理栄養士,薬剤師,看護師,リハビリテーションなどのスタッフがそれぞれの専門性を最大限に発揮し,患者の栄養状態改善や医療安全の向上に向けて協働する姿勢が非常に印象的でした.診療報酬改定により,チーム編成や加算要件が見直され,より柔軟かつ密な連携が求められる現状を実感しました.

研修の冒頭では,栄養スクリーニングの現場を見学し,Mini Nutritional Assessment-Short Form(以下,MNA-SFと略)を用いた評価が行われていることを学びました.MNA-SFは高齢患者の栄養リスクを迅速かつ的確に把握できるツールであり,現場では看護師や管理栄養士が協力してスクリーニングを実施し,リスクの高い患者を早期に抽出していました.さらに,栄養状態の詳細な評価にはGlobal Leadership Initiative on Malnutrition(以下,GRIMと略)基準が用いられており,体重減少やBody Mass Index,筋肉量,食事摂取量など多角的な指標から総合的に判断するプロセスを体験しました.これにより,患者ごとに最適な栄養管理計画を立案する重要性を改めて認識しました.

薬剤師としては,急性期病院ならではの実践的な内容を多く学ぶことができました.特に,輸液や経腸栄養剤の選択・管理,リハビリテーション薬剤の知識,栄養アセスメントの手法など,日常業務に直結する知識を深めることができました.NST回診では,救命救急病棟の全例に介入し,早期栄養介入の重要性を強く感じました.救命救急領域では,患者の全身状態が不安定な中でも,できる限り早期に腸管を使用した栄養管理を開始することが目標とされていました.腸管を使った栄養は,腸粘膜の維持や感染症予防の観点からも非常に重要であり,医師・看護師・管理栄養士・薬剤師が密に連携し,患者の状態に応じて適切なタイミングで経腸栄養を導入する工夫がなされていました.

また,NST回診では,管理栄養士が高カロリー輸液や経腸栄養剤の特徴を的確に把握し,患者ごとに最適な栄養剤を選択している様子に感銘を受けました.薬剤部のシャドーイングでは,ミキシング準備や感染対策の徹底が重要であることを再認識し,薬剤師としての役割と責任の重さを改めて感じました.さらに,整形外科対象者抽出型や依頼型のNST回診に同行しました.抽出型は整形外科医師は介入せず,オペに専念し,NSTチームが栄養状態,内科領域をサポートする体制となっており,患者さんの状態把握をする上で多職種がそれぞれの専門性を発揮しone teamが出来上がっていると感じました.そのNSTチームを担当する腎臓内科医師から,腎臓サポートセンターの設立,地域医療連携の取り組みなど,院内外における多職種連携の仕組みづくりについても学びました.特に,アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning;以下,ACPと略)に力を入れ,患者や家族の意思を尊重した医療提供を目指す姿勢が印象的でした.

リハビリテーション部門との協働では,症例ごとのリハ栄養ケアプロセスを学びました.リハビリテーションスタッフと管理栄養士,薬剤師が連携し,患者の身体機能や栄養状態を総合的に評価しながら,最適なリハビリテーションプランと栄養管理を組み合わせて提供する取り組みは,今後の在宅医療や外来診療にも応用可能であると感じました.多職種がそれぞれの専門性を活かしつつ,情報共有や意見交換を密に行うことで,患者中心の医療が実現されていることを実感しました.

また,川崎市に新設された本院の見学では,開放的な設計や動線の工夫,管理栄養士による栄養指導の現場を体感し,患者やスタッフが快適に過ごせる環境づくりの大切さも理解しました.最終日には副院長から組織や個々の成長を促すマネジメントについて講義を受け,今後は書籍や研修を通じてさらに知識を深め,得た学びを日々の業務や地域医療に積極的に活かしていきたいと強く感じました.

今回の研修を通じて,NST活動の現場では多職種が密に連携し,患者一人ひとりの状態やニーズに応じたきめ細やかな栄養管理が実践されていることを実感しました.今後は,今回学んだMNA-SFやGRIMを活用した栄養評価,早期経腸栄養の導入,多職種連携のノウハウを自施設でも積極的に取り入れ,患者さんが穏やかな最期を迎えられる医療の実現を目指して取り組んでまいります.

本研修を通じて得た最大の学びは,患者の栄養管理においては一つの職種だけで完結することはなく,各専門職がそれぞれの知識と経験を持ち寄り,密に連携しながら最善のケアを提供することの重要性です.特に,栄養スクリーニングにMNA-SFを用いることで,早期にリスクの高い患者を抽出し,GRIM基準による多角的な評価を経て,個々の患者に最適な栄養管理計画を立案するプロセスは,今後の自施設でも積極的に取り入れていきたいと考えています.

また,救命救急領域での早期経腸栄養の導入は,患者の回復や合併症予防に直結する重要な取り組みであり,医師・看護師・管理栄養士・薬剤師が一丸となって患者の状態を見極め,最適なタイミングで腸管を使用した栄養管理を開始することの意義を強く感じました.こうした多職種連携の実践は,患者中心の医療を実現するために不可欠であり,今後も自施設でのNST活動や地域医療連携において積極的に活かしていきたいと考えています.

さらに,リハビリテーション部門との協働や,院内外の多職種連携の仕組みづくり,ACPの推進など,患者や家族の意思を尊重した医療提供を目指す姿勢も大いに参考になりました.今後は,今回の研修で得た知識や経験をもとに,調剤薬局において,日々の業務や地域医療において多職種連携をさらに強化し,患者さんが安心して治療を受けられる環境づくりに貢献していきたいと考えています.

この貴重な研修の機会を活かし,今後も自己研鑽に努め,患者さん一人ひとりに寄り添った質の高い医療を提供できるよう,努力を続けてまいります.

 

掲載している写真は,被写体となった方から掲載への同意を得ています.

写真1. 病棟NSTカンファレンスの様子
 
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