電気泳動法は蛋白質や核酸の分離に優れ,とくにモノクロナリティを特徴とする悪性腫瘍由来の分子を同定するのに有用であり,とくに後述するように分子腫瘍マーカーの同定に応用されてきた.本稿で述べる造血器悪性腫瘍には白血病,悪性リンパ腫,多発性骨髄腫などあり,いずれも致死的で予後不良な疾患とされてきたが,2000年以降,電気泳動法を基盤とした分子遺伝学的な病態解析の進歩を通して,診断,治療へと結びつき,大幅な予後改善につながるものも出てきた.本稿では,慢性骨髄性白血病と多発性骨髄腫を事例に,造血器悪性腫瘍の臨床および研究における電気泳動法の現状と今後の展望について述べる.