電気泳動
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第56回日本電気泳動学会学会賞(児玉賞)受賞者論文
総合論文
  • 飯島 史朗
    2018 年 62 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/04
    ジャーナル フリー

    我々は,タンパク質または糖鎖構造のわずかな変化を検出可能な等電点電気泳動法を臨床検査室で応用するため,セルロースアセテート膜を用いた簡便な等電点電気泳動法を各種染色法,転写法と共に開発した.本法を用いてバイオマーカーを探索した結果,炎症性疾患では,α1-酸性糖タンパク質およびアンチキモトリプシンの結合糖鎖のうちConAレクチンとの反応性が高い糖鎖が炎症初期に検出され,回復期ではDSAレクチンとの反応性が高い糖鎖が増加することを見いだした.また,腎症の初期では,尿中トランスフェリンのうち,等電点の低いトランスフェリンの検出が有用であった.骨溶解病変を有する多発性骨髄腫患者では,MタンパクL鎖の結合糖鎖がConAレクチンと高い反応性を示した.以上より,開発した電気泳動法により生体試料の分析を容易にし,タンパク質結合糖鎖の分析は,炎症,腎症およびがんなど様々な疾患の新規バイオマーカー開発に有用であることを明らかとした.

第18回日本電気泳動学会奨励賞(服部賞)受賞者論文
技術
  • 杉山 康憲, 上里 裕樹, 亀下 勇
    2018 年 62 巻 1 号 p. 5-8
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/04
    ジャーナル フリー

    プロテインキナーゼ(PK)の発現と活性はリン酸化シグナルの制御を介して様々な生命現象を制御している.これらの異常は癌をはじめとする多くの疾病の発症に関与することが知られている.そのため,細胞内PKを解析することは疾病の理解において重要な意味を持つ.これまでに,PKの発現と活性を解析するための多くの手法が開発されたが,細胞内PKの発現と活性をまとめて解析する手法は確立されていなかった.そこで我々は,PKを幅広く検出できるモノクローナル抗体であるマルチPK抗体を作製した.マルチPK抗体は,細胞内PKのプロファイリング,PKの同定,PKの発現とリン酸化状態の解析に利用可能である.加えて,2型糖尿病の糖毒性,潰瘍性大腸炎,エピジェネティクスに関わるPKの解析が行われてきた.本稿では,細胞内PKの発現と活性をまとめてプロファイルするため,最近我々が開発したマルチPK抗体とPhos-tag二次元電気泳動を組み合わせた新手法について紹介する.

総合論文
  • 栁田 憲吾
    2018 年 62 巻 1 号 p. 9-12
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/04
    ジャーナル フリー

    肺癌における新規血清診断マーカーを探索するため,組織型の異なる3種の肺癌由来細胞株で発現に相違のある細胞表面タンパク質をショットガン・プロテオミクス法により網羅的に解析した.各々の肺癌細胞の膜タンパク質をビオチン化し,回収後,ショットガン解析により解析した.同定された膜タンパク質はReverse-phase protein array法を用いて肺癌患者と健常患者血清中の抗原量を測定した.合計92個の膜タンパク質が同定されたが,本実験では分泌タンパク質として報告されているCD109とCD155タンパク質に着目した.血清中のCD109とCD155量は健常者に比して肺腺癌および肺扁平上皮癌患者で有意に上昇していた.また,Receiver-Operating Characteristic解析によりArea Under the Curve(AUC)を測定した結果,健常人に対する肺腺癌や肺扁平上皮癌患者におけるCD109のAUCはそれぞれ0.94と0.90,CD155ではそれぞれ0.96と0.77で両者を鑑別可能であった.以上,ショットガン・プロテオミクス法を用いた膜タンパク質の解析方法は新規血清診断マーカー獲得のための有用な方法である.

第67回日本電気泳動学会シンポジウム:バイオ医薬÷電気泳動:電気泳動でみるバイオ医薬品の特性
技術
  • 木下 英樹, 小杉 正幸, 矢部 公彦, 松永 貴輝, 木下 充弘
    2018 年 62 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/04
    ジャーナル 認証あり

    抗体医薬は生体高分子であり,糖鎖修飾などの翻訳後修飾やジスルフィド結合による高次構造形成など,複雑な物理化学的特性が付加されるため,これらは本質的に不均一性を有する.近年,抗体医薬の機能性,製造プロセス,品質管理性を向上させるために,抗体医薬の構造を詳細に分析できる分析技術や評価方法の高度化が求められている.本研究開発では,2DE技術を用いた抗体医薬の高精度な評価方法の確立を目指して,2DEの自動化システムで使用できる分析用チップおよび分析方法を開発し,その有効性を検討した.

総合論文
総説
  • 鈴木 茂生
    2018 年 62 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/04
    ジャーナル 認証あり

    糖タンパク質糖鎖の新たな解析手法として,レクチン結合解析やエキソグリコシダーゼ消化をキャピラリー内で行う,いわゆる部分導入キャピラリー電気泳動法を紹介する.糖タンパク質糖鎖はPNGase Fで遊離させた後,8-アミノピレン-1,3,6-トリスルホン酸で蛍光標識した.様々なレクチンを用いたところ,糖鎖構造特異的な泳動パターンが得られ,レクチンによってピークが遅延するタイプと消失するタイプがあった.エキソグリコシダーゼ消化については酵素によって測定法を工夫する必要があった.ノイラミニダーゼやα/β-ガラクトシダーゼ消化は酵素溶液の導入時間を増加させることで進行した.ヘキソサミニダーゼは0電位印加法,フコシダーゼとα-マンノシダーゼは低電位印加法を用いる必要があった.応用として糖鎖混合物中の高マンノース型糖鎖の特異的検出ならびに,抗体医薬品中のN-グリコリルノイラミン酸およびα-ガラクトース残基の検出に適用した例も紹介する.

  • 舘野 浩章
    2018 年 62 巻 1 号 p. 27-30
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/04
    ジャーナル 認証あり

    レクチンマイクロアレイは複雑な糖鎖構造をタンパク質から切り出すことなしに迅速,高感度に解析するための糖鎖プロファイリング技術である.サンプルは治療用細胞や抗体医薬を含む様々な生物試料が対象となる.本レビューでは,レクチンマイクロアレイを用いた治療用細胞や抗体医薬の糖鎖解析についてご紹介する.

  • 橋井 則貴, 石井 明子
    2018 年 62 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/04
    ジャーナル 認証あり

    質量分析法は,バイオ医薬品の構造・組成や物理的化学的性質にかかわる様々な品質特性を明らかにするために汎用されている分析手法の一つである.例えば,液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)によるペプチドマッピングは,一次構造やジスルフィド結合等のタンパク質の基本骨格の解析に加えて,糖鎖付加,酸化,及び脱アミド化などの翻訳後修飾解析のためにも不可欠となっている.さらには,水素重水素交換反応とLC/MSによるペプチドマッピングを組み合わせた手法(HDX/MS法)が高次構造の評価に利用されつつある.高度に分子設計された改変型タンパク質の開発が活発化している中で,質量分析法を利用した構造特性解析の重要性は益々増加するものと予想される.本稿では,バイオ医薬品の構造特性解析に利用されている質量分析法について概説する.

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