日本内分泌学会雑誌
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Tryptophan代謝と実験的糖尿病
古武 弥人
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1958 年 34 巻 8 号 p. 713-721

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抄録

1950年私共はV.B6欠乏食, 或いは高脂肪, 高トリプトファン食で白ネズミを長期飼育する時, やがてそれ等が持続性高血糖, 糖尿並びにケトン体の排泄等, 糖尿病様の症喉を呈して来ると共に, Tryptophanの代謝産物の一つである.Xanthuren酸 (XA) の排泄増加を認めた.一方, このXanthuren酸を白ネズミに注射すると, 多くの白ネズミは, 三相性の血糖変化に引続いて持続性高血糖を呈し, XAがdiabetogenic activityを有する事が明らかとなつた.私共の実験的糖尿病が高脂肪, 高蛋白食或いはV.B6欠乏と云う, 不適当な食事摂取をその発症要因とする点は, 人の糖尿病発症のそれとの近似性を予想させ又, 食餌性に, 又生体代謝産物によつて実験的に糖尿病を発症せしめ得ると云う事は, 人の糖尿病の発症, 進展の解析に一つのapproachとなり得るのではないかと考えて居る.

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© 一般社団法人 日本内分泌学会
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