日本内分泌学会雑誌
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糖尿病性肝障害と血中Insulin活性の関係
山田 弘三小出 忠孝青山 克己久野 勉渡辺 一弘前田 敏夫宮脇 洋隆
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1965 年 41 巻 6 号 p. 751-755

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抄録

肝臓が生体の物質代謝に於て果す重要な役割から, 糖尿病時に肝臓の占める意義が極めて大きい事は当然である.古くV. Mering. Minkofskiで膵摘動物の肝臓に多量の脂肪沈着を認めて以来, 糖尿病に於ける肝臓の態度に対し, 種々論議されてきたが, 糖尿病者の肝障害が, 非糖尿病者との間に差はないとするもの, 或いは極めて高率に見出されるものなど, その成績は必ずしも一致していない.近年肝生検, 及び酵素化学の進歩による肝診断法の発展に伴い糖尿病に合併した肝障害は, 改めて注目せられるに至つている.糖尿病がInsulinの絶対的或いは比較的欠乏に基因する代謝異常疾患とされている事から, このInsulin欠乏が, 糖尿病時の肝障害に対して, 如何なる影響を与えるかには極めて重要な問題であるが, 内外の文献に何ら明確な根拠はみられない.私共は依然より独自のInsulin測定法により血中Insulin活性 (以下ILAと略す) を測定し, 糖尿病の病態との関連について検索してきたが, 今回は糖尿病時の肝障害とILAとの関係について報告する.

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© 一般社団法人 日本内分泌学会
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