沿岸海洋研究
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Print ISSN : 1342-2758
衛星海洋観測による沿岸域研究-仙台湾と陸奥湾
川村 宏
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2014 年 51 巻 2 号 p. 125-137

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抄録

仙台湾周辺の沿岸海域と流入河川流域は,今,深刻な環境問題である放射能汚染に直面している.放射性物質は地面・海面に降下し,融雪水や雨に流されて河川から沿岸域に運ばれ,海洋を浮遊し,この地域を循環する.このような困難な課題に立ち向かううえで,最新の地表監視科学技術が果たす役割は大きい.道しるべ-1:「高解像度可視赤外放射計は,沿岸域の表面の状態を監視し,放射能汚染物質の動態を支配している海面での物理・化学・生物相互作用を理解する上で,根本的な役割を担うであろう.」この20年で大気海洋変動観測の科学技術基盤が大きく強化され,陸奥湾周辺のバルク大気とバルク海水の変動現象を的確に把握し,高精度で予測できるようになった.しかし,海面極近傍には私たちが知らない現象,すなわち挑戦すべき課題,がまだたくさんある.そして,その海面は地球表面の7割を占める.道しるべ-2:「バルク海水からスキンへ,そして海面へ.」

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© 2014 日本海洋学会 沿岸海洋研究会
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