沿岸海洋研究
Online ISSN : 2434-4036
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最新号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 山口 聖, 太田 洋志, 津城 啓子, 三根 崇幸
    2021 年 59 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/07
    [早期公開] 公開日: 2020/12/22
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    冬季の有明海湾奥西部域における満潮時および干潮時の物理化学環境(栄養塩環境・光環境)の評価を行うことを目的 に,当海域への主要な淡水供給源である感潮域からその沖合域にかけて調査を行った.2017年12月5日に,沖合域におい てSkeletonema 属を主体とする珪藻ブルームの発生とそれに伴う栄養塩濃度の減少が観測された.2017年12月26日の満潮 時には,珪藻ブルームの影響により塩田川・鹿島川の感潮域上流部を除きDIN 濃度は低かった.感潮域の上流部は河川 水の影響により栄養塩濃度は高かったが,高濁度のために有光層/水深(zeu/z)比は0.6以下と低い値を示した.一方で 12月27日の干潮時には,感潮域の水塊が下げ潮に伴い沖合域へ拡散することで栄養塩濃度の高い海域が広がっており,さ らに水深が浅くなったことで多くの地点でzeu/z 比は1以上の値を示した.このことは,満潮から干潮にかけて,高栄養 塩水塊中の光環境が珪藻の増殖にとって好転することを示しており,干潮時の沖合域は珪藻の増殖域として重要である可 能性がある.
  • 森本 昭彦, 柴川 大雅, 滝川 哲太郎, 平井 真紀子, 三門 哲也, 美山 透
    2021 年 59 巻 1 号 p. 11-20
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/07
    [早期公開] 公開日: 2021/02/26
    ジャーナル 認証あり
    愛媛県農林水産研究所水産研究センターは,沿岸定線の28測点において毎月海洋観測を実施している.各測点では調査 船の船底に搭載された超音波多層流速計(ADCP)により流速が記録されている.潮流の卓越する豊後水道では,流速の 瞬間値から得られるのはその時の潮流の情報であり,測定のタイミングにより流向・流速は変わるため,沿岸定線観測時 のADCP データはほとんど利用されていない.しかし,ADCP データから潮流を正確に除去でき残差流を求めることが できれば,有用な情報を得ることができる.本研究では,27年間の月1回のADCP データから潮流がどの程度の精度で 見積もることができるかを,数値モデルの出力を使い疑似観測データを作り検討した.豊後水道南部海域では潮流が弱く 残差流が大きいため推定精度が悪いが,豊後水道中部,北部では誤差1cm s-1~3cm s-1で8分潮の潮流を推定できる ことを示した.この結果から,愛媛県農林水産研究所水産研究センターのADCP データを調和解析し潮流成分を除去 し,水深10m と50m の1,4,7,10月の残差流分布を示した.豊後水道の残差流の季節変化は小さかった.これは潮 汐残差流が卓越するためと考えられる.
  • 谷川 亘, 村山 雅史, 井尻 暁, 廣瀬 丈洋, 浦本 豪一郎, 星野 辰彦, 田中 幸記, 山本 裕二, 濱田 洋平, 岡﨑 啓史, 徳 ...
    2021 年 59 巻 1 号 p. 21-31
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/07
    [早期公開] 公開日: 2021/04/01
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    高知県須崎市野見湾では,白鳳地震によって水没した村『黒田郡』の伝承が語り継がれているが,その証拠は見つかっ ていない.そこで本研究では,野見湾内で海底調査を行い『黒田郡』の痕跡を探索した.その結果,海底遺構の目撃情報 がある戸島北東部の海底浅部(水深6m~7m)に,面積約0.09km2の沖側に緩やかに傾斜する平坦な台地を確認した. 台地表層は主に薄い砂で覆われており,沿岸に近づくにつれて円礫が多くなった.また,砂層の下位は硬い基盤岩と考え られ,海底台地は旧海食台(波食棚)と推定される.海水準変動と地震性地殻変動を踏まえると南海地震により海食台は 約7m 沈降したと推定できる.本調査では黒田郡の痕跡は発見できなかったが,水中遺跡研究に対する多角的な調査手 法を検討することができた.特に,インターフェロメトリソナーの後方散乱強度分布による底質観察とStructure from Motion(SfM)技術を用いた海底微地形の構築は,今後浅海における水中遺跡調査に活用できる.
  • 速水 祐一
    2021 年 59 巻 1 号 p. 33-45
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/07
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    It has been 20 years since the environmental and fisheries problems in the Ariake Sea were reported. However, several problems including the decrease of bivalve catch(pen shell, ark shell and manila clam), decrease of macro benthos, and the occurrence of hypoxia and red tide are ongoing. The fundamental measures required to restore the marine environment are still unknown. In this article, we overview the environmental and fisheries problems in the Ariake Sea and review the studies about the long-term changes in tide and tidal current, hypoxia, red tide, and fish catch, and discuss future restoration measures.
  • 松野 健, 磯辺 篤彦, 上原 克人, 郭 新宇, 白木 喜章, 竹内 一浩, 山口 創一
    2021 年 59 巻 1 号 p. 47-57
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/07
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    沿岸域における構造物の建設や様々な大規模な事業に際して,実施される環境影響評価では,数値モデルを用いた予測 実験が行われる.また,沿岸域での海洋現象を理解するための研究でも様々な数値実験が用いられてきた.その際,数値 モデルの結果は,観測値と比較することで,その信頼性を担保することが行われている.しかしその再現性の定量化につ いては十分議論されてこなかった.本稿では,特に潮汐流に関して,モデルの再現性について検討を行った.まず,観測 による時系列から求めた潮流調和定数の時間変動を求め,再現すべき観測値に含まれる不確定性を定量化した.さらに, 複数の数値モデルを用いて,モデル間の相違を示し,許容すべき範囲について検討を加えた.観測値からは,比較的振幅 の大きいM2分潮では,標準偏差で10%程度の不確定性があった.また,比較的観測値に類似した結果になったモデル間 でも10%~20%の相違がみられた.実際の数値モデルでは観測値に合わせるためのチューニングが行われる場合が多い が,全域で観測値に合わせることも困難であることを考慮すると,数値モデルによる潮汐流の再現性として,観測値との 相対誤差を10%以下に抑えることは困難であるものの,少なくとも20%程度までの相違に抑えることが合理的と考えら れる.
  • 関口 秀夫
    2021 年 59 巻 1 号 p. 59-68
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/07
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    日常生活における「豊かさ」の意味を,次に「豊かな社会」の定義と測度を明らかにし,社会や個人にとって「豊かさ」 が何を意味しているのかを検討する.これらの検討を踏まえ,環境・水産行政における豊かさを,次に生態学における豊 かさを明らかにする.
  • 関口 秀夫
    2021 年 59 巻 1 号 p. 69-78
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/07
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    前報での議論を踏まえ,①「豊かな海」と海洋生態系の関係,②「豊かな海」をめぐる利害関係者の衝突,③水産業の社 会的位置と問題点,④「豊かな海」と里海と漁業の関係,⑤「豊かな生態系」(豊かな海)の価値および評価,の5つの課題 を検討する.
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