抄録
八代海におけるChattonella 赤潮の物理的要因による時空間変動に関し,数値モデルとモニタリングデータに基づいた
既往の研究成果を集約した.2009年7月下旬,細胞密度1,000cells ml-1を超えるChattonella 赤潮が北部海域で形成された後,数日間で急速に南部海域にまで拡大した.赤潮の南向きへの拡がりは,球磨川からの出水と北東風によって強制された移流によって説明されることが数値モデルの結果で示された.南部海域への赤潮を伴う低塩分水の輸送は,風応力と北部/南部海域間の圧力勾配力とのバランスによって説明することができる.風応力および圧力勾配力は,現場モニタリングされる海面密度,塩分躍層の深度,風向・風速によって算出することができるため,北部海域で赤潮が発生した際,赤潮が拡がるかどうかの指標として扱うことも可能である.