沿岸海洋研究
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Print ISSN : 1342-2758
2段階のアクティブラーニングを用いた地域社会と連携した海洋教育
吉江 直樹
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2017 年 55 巻 1 号 p. 11-15

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抄録

海に関わる次世代の人材を育成するためには,大学での高等海洋教育だけではなく,近年「海離れ」が深刻化している 小中高生に,海への関心を高めてもらう必要がある.そこで私たちは,養殖業生産額日本一を誇りながらも若年層の海離 れが進む愛媛県宇和島市において,地域社会と連携した体験型海洋環境教育のアクティブラーニングを実践することによ り,楽しみながら海について考え学ぶ機会を提供することにした.この環境教育のアクティブラーニングでは,高校生が 体験型教育を通して研究者から「学び・考える」という“1段階”を行うだけではなく,高校生が小学生に対して「主体 的に教材を開発し・教える」という“2段階”を加えて実施した.この2段階の過程を通したアクティブラーニングによ り,高校生による楽しい体験学習を通して小学生の海への関心が高められる効果と,小学生に教えるための深い学びを通して高校生の海への関心が高められる効果が確認された.また,私たちは関係各機関との連携を通して地域に根差した海洋教育に向けた人的ネットワークを構築することができた.ここで開発された教育プログラムを地域の様々な教育現場にて応用できるように,それらの解説動画をまとめた環境学習教材DVD を作成した.今後は,この教育プログラムを受講した小学生・高校生らが海洋・水産学分野に進み活躍することを期待する.

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© 2017 日本海洋学会 沿岸海洋研究会
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