抄録
軽度意識障害と口腔期嚥下障害を合併した偽性球麻痺患者に対してイー嚥下と舌接触補助床(PAP)の併用で口腔通過時間が短縮した症例を経験したため報告する.症例は80 歳代女性で診断はくも膜下出血.「体幹角度45°,嚥下調整食3,1 食介助摂取,経管栄養併用」の条件で当院へ入院したが,意識障害と重度の舌運動障害により咽頭への食塊移送に時間を要した.49 病日の嚥下造影検査(VF)では,奥舌が挙上し軟口蓋に接触して咽頭への食塊移送を妨げていた.118 病日のVF ではイー嚥下が有効であったが,まだ食塊は舌前方に残留したためPAP を作製した.イー嚥下とPAP の併用により口腔通過時間は短縮し,摂取時間短縮と摂取量増加を認めた.イー嚥下は奥舌と軟口蓋の接触により咽頭への食塊移送が困難な場合に有効とされるが,本症例では舌前方の運動障害も合併しており,PAPの併用で改善につながったと考えられる.