嚥下医学
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原著
  • 黒川 雅史, 宮川 晋治, 薮崎 敦子, 棚橋 一雄, 相井 誠次郎, 國枝 顕二郎, 金沢 英哲, 昆 博之, 小川 美歌, 高橋 博達, ...
    2026 年15 巻1 号 p. 66-72
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/13
    ジャーナル フリー
    嚥下障害の精密検査として, 嚥下造影検査(videofluoroscopic examination of swallowing:VF) と嚥下内視鏡検査(videoendoscopic evaluation of swallowing:VE)がある.
    当院では原則的にVF を行う前後にVE を行っている.VE にて直接咽頭・喉頭を観察することで,腫瘍病変,声帯の麻痺・萎縮などの器質的疾患の評価を行うだけでなく,経鼻胃管の走向,唾液貯留や食塊残留,唾液誤嚥の有無や,ファイバーの先端で咽喉頭を触れることで喉頭の感覚低下などを調べることができる.
    今回我々はVF の前後にVE を実施することで,どのようなメリットがあり,嚥下評価後の訓練にどのように寄与するかを検討した.
  • 首藤 洋行, 古賀 千晶, 峯崎 晃充, 石田 知也, 杉山 庸一郎
    2026 年15 巻1 号 p. 73-81
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/13
    ジャーナル フリー
    不適切な気管切開術による術後合併症として,喉頭・気管狭窄や嚥下障害などが知られているが,ひとたび発症すると治療に難渋することがある.症例は40代,男性.他院で左側視床出血の治療経過中に気管切開が行われた.しかし,カニューレは声門部に位置するほど,通常より高位で手術が行われており,輪状甲状靭帯および甲状軟骨の中央尾側が欠損し,声帯前交連も欠如した状態であった.肉芽や瘢痕組織の形成で喉頭狭窄を認めたため,狭窄解除後の喉頭再狭窄予防として,シリコンステントを留置して喉頭皮膚瘻を形成した.シリコンステントを抜去すると,喉頭狭窄は改善していた.しかし,気道開存に伴って音声障害および嚥下障害が顕在化したため,喉頭皮膚瘻閉鎖術および喉頭枠組み手術,嚥下機能改善手術を同時に行った.喉頭再狭窄はなく,発声および経口摂取良好となったため,カニューレ抜去および気管孔閉鎖にまで至った.段階的手術を計画することで,いずれの病態も改善することができた.複雑かつ重度な病態に対しても,適切な術式を選択することで改善する可能性がある.
  • 大橋 翔司, 金子 真美, 中武 展子, 藤井 良憲, 杉山 庸一郎, 児玉 直俊
    2026 年15 巻1 号 p. 82-93
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/13
    ジャーナル フリー
    嚥下障害において,喉頭挙上障害は比較的多くみられる機能障害であり,誤嚥のリスク因子となりえる.喉頭挙上障害を認める患者に対して行う訓練法の一つにシャキア法(Shaker exercise;頭部挙上訓練)がある.これはエビデンスを伴う訓練法であるが,実施には身体的な負荷が大きくセッションを遂行できない患者が多い.近年,電気刺激療法を用いて舌骨上筋群の筋収縮を促すデバイス使用が嚥下リハビリテーション(以下,嚥下リハビリ)領域でも増加している.今回我々は従来の嚥下リハビリで嚥下機能改善効果が乏しかった喉頭挙上障害を呈する嚥下障害患者3 症例に対し,高電圧パルス電気刺激を用いて短期集中嚥下リハビリを施行した.その結果,嚥下時の甲状軟骨および舌骨の挙上距離,前方移動距離は延長し,penetration aspiration scale(PAS)およびFood Intake LEVEL Scale(FILS)の改善も認めた.高電圧パルス電気刺激療法を併用した短期集中嚥下リハビリにより,一定の嚥下機能改善効果が示された.
  • 夏目 裕希, 岡本 圭史, 野本 亜希子, 髙木 由衣, 國枝 顕二郎, 大野 友久, 重松 孝, 藤島 一郎
    2026 年15 巻1 号 p. 94-99
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/13
    ジャーナル フリー
    軽度意識障害と口腔期嚥下障害を合併した偽性球麻痺患者に対してイー嚥下と舌接触補助床(PAP)の併用で口腔通過時間が短縮した症例を経験したため報告する.症例は80 歳代女性で診断はくも膜下出血.「体幹角度45°,嚥下調整食3,1 食介助摂取,経管栄養併用」の条件で当院へ入院したが,意識障害と重度の舌運動障害により咽頭への食塊移送に時間を要した.49 病日の嚥下造影検査(VF)では,奥舌が挙上し軟口蓋に接触して咽頭への食塊移送を妨げていた.118 病日のVF ではイー嚥下が有効であったが,まだ食塊は舌前方に残留したためPAP を作製した.イー嚥下とPAP の併用により口腔通過時間は短縮し,摂取時間短縮と摂取量増加を認めた.イー嚥下は奥舌と軟口蓋の接触により咽頭への食塊移送が困難な場合に有効とされるが,本症例では舌前方の運動障害も合併しており,PAPの併用で改善につながったと考えられる.
  • 三木 章子, 江崎 貞治, 小寺 詠介, 廣島 亘, 加藤 静香, 木村 隆文
    2026 年15 巻1 号 p. 100-107
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/13
    ジャーナル フリー
    症例は70 代男性.頭部外傷により入院し,経過中に慢性硬膜下血腫を発症した.血腫除去術後に炎症反応(CRP)の上昇を認めたため,尿路感染症を疑い抗菌薬治療を開始したが,CRP は完全には改善しなかった.当初は誤嚥を考慮していなかったが.嘔吐および発熱を契機に誤嚥性肺炎と診断した.抗菌薬治療を継続したものの,CRP の軽度上昇は持続した.嚥下内視鏡検査(VE)では,咽頭通過は良好であったが,いったん食道入口部を通過した液体が再び梨状窩に貯留する,食道咽頭逆流所見を認め,さらに披裂間切痕からの液体の誤嚥も観察された.食道蠕動を促す目的でブリッジ空嚥下(腰上げ空嚥下)訓練を開始したところ,経口摂取を継続しながらもCRP は改善し,再検時のVE では逆流の減少と誤嚥の消失を認めた.3 回目のVE では,食道咽頭逆流もほとんど認められなかった.嚥下機能の改善とともに食欲および全身状態も回復し,最終的に自宅退院が可能となった.
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