日本生態学会大会講演要旨集
第52回日本生態学会大会 大阪大会
セッションID: B211
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流域内の排水形式と河川の水質に関する水文生態学的研究 _-_広島県土師ダム水源地域における事例_-_
*吉川 宏和島田 基世磯崎 由行中越 信和永田 智久坂村 晃山崎 亙
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抄録

 高度経済成長をエポックとして閉鎖性水域内に対する富栄養化が問題となった。一般に知られたように,その主たる原因は人間の生活活動から河川へ流出する栄養塩類である。富栄養化の問題は水域内の生物にさまざまな影響を与え、しばしば有害生物の発生までも危惧されるようになってきている。広島県安芸高田市八千代町にある土師ダムのダム湖においても、現在富栄養化の問題が深刻化しアオコの発生が慢性化している。ダム湖において気などの対処療法行われているが富栄養化が改善される傾向はあまり見られていない。特に全窒素・全リンは2002年度の公共用水域水質測定でも、年12回の測定のうち全窒素は12回、全リンは11回水質環境基準を超える濃度が測定された。そこで、この研究ではダム湖の上流域からの富栄養化物質の流入量を地理的に評価することを目的とした。最初に富栄養化物質が多量に流出している流域を把握するために、比較的容易に測定できる電気伝導度を水の汚れを示す指標として用い土師ダム上流域において電気伝導度を測定した。次に特に高い電気伝導度を示した広島県千代田町の今田川流域を調査地とした。平水時に調査地点の瞬間流量[m3/sec]を計算するために河川断面形ならびに流速分布を各地点で測定し、同時に電気伝導度・水温を測定し,採水して総無機窒素・総リンを測定した. データは,各地点毎に電気伝導度・総無機窒素・総リンの濃度をそれぞれ流量に乗じ、各地点における電化(ECflux)、総無機窒素・総リンのフローを求めた。これらのデータから河川に対する栄養塩類の流出の原因を調査するため今田川流域の下水道整備状況や農業用水路の詳しい栄養塩類付加量を調査した.その結果を検討する。また、調査流域の平水時の汚濁負荷ポテンシャルマップを作成し排水システムの改善点を調査流域を対象として議論したい。

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© 2005 日本生態学会
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