日本生態学会大会講演要旨集
第52回日本生態学会大会 大阪大会
セッションID: P1-065
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アマゾン川河口における樹木の生育特性と種生態
*目黒 伸一
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抄録

 1992年からブラジル河口部において人間活動にとって破壊されてきたアマゾン熱帯林の修復・回復プロジェクトを行ってきた。植生調査によりアマゾン川に生育する土地本来の樹種を用い、ブラジル・パラ州においてポット苗による植栽を行い、その生長調査を追跡した。これまでにほとんどの樹種の厳密な意味での生態はほとんど明らかにされていない。そこで、地形や立地の差異による生長解析によりその種生態と生長特性について調査を行った。 その結果、Dipteryx odorata、Sterculia speciosa、 Virola cuspidateおよびCarapa guianensisは湿性立地に生育し、Virola melinoniは乾性立地に生育することが明らかになった。これらの種は乾性立地および湿性立地における区分種であった。 Eschweilera parvifoliaはその分布が広く、立地に対する選択性が低いことが明らかになった。Tabebuia serratifoliaはその高い材密度のため生育は遅く、また台地など比較的排水がよい立地で良い生長を示すことが明らかになった。 アマゾンに生育する樹種の種特性は東南アジア熱帯雨林に生育する樹種よりも、より高い変異幅を持ち、Schizolobium amazonicum,、Ochroma pyramidaleおよびCeiba pentandraなどは時によりずっと速い生育する樹種があることが確認され、その多様な立地が多くの種群の生育を可能にしていることが示唆された。 また、樹種の有する材密度と生長特性、樹木形態に強い相関があることが示されていた。

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© 2005 日本生態学会
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