日本生態学会大会講演要旨集
第52回日本生態学会大会 大阪大会
セッションID: P1-186
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農耕地残存林とその周囲環境におけるマルハナバチ訪花頻度の比較
*岡田 梨江平林 結実永光 輝義紺野 康夫
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抄録

マルハナバチの訪花頻度を調査地(30.4ha)内の景観景観要素ごとに比較した。農耕地に設けた調査地の構成要素は畑(29.2 ha)、残存林(0.9 ha)、菜園(0.04ha)未利用地(0.3ha)の4つである。畑はカボチャ、ジャガイモ、アズキ、トウモロコシ、ビート、コムギが大規模に栽培され、隣接する菜園では豆類、カボチャ、トマト、ナス、コスモスなどが小規模に栽培されていた。未利用地は畑の畦、明渠、防風林林床、放置された廃屋の庭などからなり、在来種と外来種が混在している。これらの構成要素における在来マルハナバチ4種(アカマルハナバチ、エゾオオマルハナバチ、エゾトラマルハナバチ、ニセハイイロマルハナバチ)の訪花調査を2003年7月から10月まで行った。調査結果から求めた平均訪花頻度(/分・m2)は未利用地(27.58×10 ‐4)、菜園(7.11×10‐4)、林(5.10×10‐4)、畑(0.07×10‐4)の順に高く、構成要素により有意に異なった。次に、平均訪花密度と各構成要素の面積との積より構成要素別の訪花個体数(/分)を求めた(計算方法の詳細は略す)。その結果、訪花個体数(/分)は、未利用地14.66頭、林4.87頭、畑3.17頭、菜園0.19頭となり、未利用地での訪花が多かった。未利用地がマルハナバチにとって重要な採餌場所となっている事、畑が訪花密度は低いが採餌場所として無視できないことが示された。ただし、林内で草本や低木種が多く開花する4月から6月が含まれていないため、林の評価が低くなっている可能性がある。

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© 2005 日本生態学会
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