日本生態学会大会講演要旨集
第52回日本生態学会大会 大阪大会
セッションID: P2-020
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コナラ二次林,照葉二次林の種組成・種多様性の比較-兵庫県三田市において-
*伴 邦教武田 義明服部 保
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抄録

兵庫県三田市大川瀬にはコナラ二次林と照葉二次林がほぼ同一環境に存在する.照葉二次林はこの地域における里山林の遷移進行後の林であると考えられる.この照葉二次林とほぼ隣接するコナラ二次林を比較し,里山林が遷移した場合の種多様性を明らかにすることを目的にした.兵庫県三田市大川瀬において100_m2_の調査枠を設置し,植物社会学的植生調査を行った.調査対象はコナラ二次林7地点,照葉二次林7地点とした.群落適合度5を用いて各二次林の識別種を抽出した.常緑積算被度として各調査地点の常緑植物(常緑多年生草本を除く)の合計被度を算出し,出現種数・常緑植物・夏緑植物の関係を解析した.コナラ二次林はサルトリイバラ,クロモジ,コバノガマズミなど13種を識別種とし,それらはシシガシラを除いて夏緑植物であった.照葉二次林はイヌガシ,ハゼの2種を識別種とした.常緑積算被度は出現種数および夏緑植物種数と負の相関が高く(r=-0.89,-0.91),常緑植物種数とも負の相関(r=-0.43)がみられた.以上のことから,常緑積算被度が増加し,林内が暗くなり,夏緑植物の種数が減少したものと考えられる.照葉二次林では夏緑植物の生育が抑えられており,さらに照葉二次林への他の常緑樹の供給源がないことから種多様性が低下したと考えられる.

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© 2005 日本生態学会
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