日本生態学会大会講演要旨集
第52回日本生態学会大会 大阪大会
セッションID: P3-164
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アクアリウムの水草がもたらす潜在的な外来種問題
*石井 潤村中 孝司宮脇 成生鷲谷 いづみ
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抄録
 近年日本では、アクアリウムやアクアガーデンの人気が上昇している。多様な水草が手ごろな値段で手軽に手に入れられるようになり、親水公園やビオトープで植栽したり水槽で栽培して楽しむ人が増加している。このようにして利用されている水草の種数は約300から500種と言われており、そのほとんどが日本に自生しない外来水草である。ところが、これらの水草に関する生態学的な知見はほとんどなく,野外に逸出した場合,生物多様性や生態系に及ぼす影響を予測することが困難な状況となっている。実際、ホテイアオイやオオカナダモ、コカナダモ、ボタンウキクサ、オオフサモなどの侵略的外来水草は、生態学的知見がないまま日本に導入され野外に逸出して生態系に重大な被害をもたらしている代表的な種である。
 そこで、本研究では、アクアリウムで利用される水草の分類学的・生態学的特徴を明らかにして、これらの水草の取り扱いに関する注意点を提言することを目的とする。そのために、まず、市販の代表的なアクアリウムの水草の書籍を参照して、種リストを作成する。次に、国内外の植物図鑑や文献を用いて、分類、原産地、繁殖特性や生育環境などの生態的特性に関する情報を整理する。そして、それに基づき、これまでに野外に逸出した侵略的外来水草の特徴と対比させて、野外に逸出していない種の野生化の可能性や野生化した場合の生態影響について予測する。
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© 2005 日本生態学会
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