抄録
ランダムに構成すると望ましい性質を持つオブジェクトは,多くの場合ランダムなままでは扱えないため,「擬似ランダム」に構成する必要がある.擬似ランダムオブジェクトは様々に存在し,それぞれの目的や性質は異なるが,幾つもの擬似ランダムオブジェクトは,統一的な特徴付けが可能であることをVadhan が示した.そのオブジェクトとは,誤り訂正符号,エクスパンダグラフ,標本器,乱数抽出器,困難性増幅器,擬似乱数生成である.本稿では,誤り訂正符号を基本的な視点として,その他のオブジェクトについて統一的に理解することを目的とし,各オブジェクトの紹介と解説を行う.