電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review
Online ISSN : 1882-0875
ISSN-L : 1882-0875
最新号
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表紙
目次
ごあいさつ
技術の原点
幹事団提案
  • 田中 聡
    2025 年 18 巻 4 号 p. 252-266
    発行日: 2025/04/01
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル フリー

    筆者は1985~2022年の間,企業(株式会社日立製作所,株式会社ルネサスエレクトロニクス,株式会社村田製作所)で移動体通信向け高周波回路特にトランシーバ(送受信機)機能を集積したRFIC(radio frequency integrated circuit)と,送信信号を増幅するPA(電力増幅器)などの開発を行った.自身の開発の経緯を振り返ると,キラーアプリケーションである携帯電話の出現までアプリケーションを探索していた初期と,主に第2世代携帯電話をアプリケーションとしたRFICとPAモジュールを開発していた中期と,スマートフォン向けPAモジュールを開発していた後期ととらえることができる.本稿では自分の原点としてアプリケーションを探索していた初期の開発について述べ,その後の開発にどのようにつながっていったかを述べる.

解説論文
EA研究会提案
  • 中谷 智広, 池下 林太郎, デルクロア マーク, 落合 翼, 加茂 直之, 荒木 章子
    2025 年 18 巻 4 号 p. 267-278
    発行日: 2025/04/01
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル フリー

    複数の音声やそのほかの音が混ざって収録された音響信号から,個々の音を分離して抽出する音源分離,及び特定の話者の音声のみを抽出する目的音声抽出について,最新の技術動向を解説する.これらの技術は,人にとって音声をより聞き取りやすくするだけでなく,後段の音声アプリケーションの性能向上にも寄与する.二つの重要なアプローチとして,信号のモデルに基づく方法とニューラルネットワークに基づく方法をとりあげる.各アプローチの概要と特徴を述べ,代表的な技術として,残響環境下でのブラインド音源分離と声の特徴に基づく目的音声抽出について詳しく紹介する.最後に,この技術分野の今後の展望についても触れる.

TL研究会提案
  • ―プロソディーの視点から文処理メカニズムを探る―
    中村 智栄
    2025 年 18 巻 4 号 p. 279-289
    発行日: 2025/04/01
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル フリー

    本稿では,第二言語(L2)習得におけるプロソディーの役割を,理論的枠組みと実証的研究の両面から考察する.発話音声におけるプロソディーは単なる感情表現にとどまらず,文の統語構造や情報の流れ,更には談話のつながりを明示し,あいまいさの解消や理解の効率化に寄与する重要な要素である.L2学習者が目標言語におけるプロソディー処理をどのように行うのか,その複雑なメカニズムを明らかにするため,まずプロソディー習得を説明する主要な理論モデルを概観する.次に,漸次的処理と予測的処理という二つの概念を中心に,プロソディーがほかの言語的情報とどのように結びつき理解を形成するのかを議論する.その中で,アイトラッキング技術を用いた二つの実証実験を通して,母語話者とL2学習者がプロソディー情報を予測的に用いる際の違いやその柔軟性を比較する.これらの知見は,L2プロソディー処理の認知メカニズムを包括的に理解するだけでなく,学習者が新しい言語システムをどのように習得し,適応するのかを解明する鍵となるだろう.本稿を通じて認知科学,脳科学,計算言語学といった学際的なアプローチにより言語理解を科学的に研究することの重要性と魅力を伝え,この分野の更なる発展につなげたい.

ICTSSL研究会提案
  • ―高速道路保全技術とICT―
    臼井 智徳
    2025 年 18 巻 4 号 p. 290-301
    発行日: 2025/04/01
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル フリー

    高速道路に関わる災害として,豪雨災害・地震災害・トンネル火災・大雪災害などがある.本稿では,安全・安心な生活のために必要な社会インフラである高速道路に関する保全・管理・運用技術へのICTなどの活用について解説する.まず,トンネル火災への対応の現状を整理し,今後必要な取組みを考察する.また,大雪災害に対する備えとして,様々な雪氷作業について整理するとともに,高速道路を走行されるお客さまと除雪作業を行う作業員に配慮したICTを活用した安全対策について解説する.

VLD研究会提案
  • ―解説論文用―
    吉瀬 謙二
    2025 年 18 巻 4 号 p. 302-309
    発行日: 2025/04/01
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル フリー

    高度な人工知能やIoTを実現するコンピューティングシステム環境において,かつてない高いコンピューティング能力が必要とされている.これを達成するために,FPGAをはじめとする再構成可能デバイス(アダプティブデバイス)が注目されている.アダプティブコンピューティング研究推進体(ACRi)は,高性能なアダプティブコンピューティング・システムの開発及びその設計を効率化するためのFPGA活用基盤の開発を目指して,AIなどの処理を高速化するFPGAアクセラレータの開発,IoTのためのFPGAアクセラレータ及びFPGAシステムの開発,設計を効率化するためのFPGA活用基盤の開発などの研究テーマに取り組んでいる.また,研究成果のアウトリーチ活動として,開発したシステムを含む関連技術の普及を目指す事業に取り組んでいる.これらの取り組みとVLSI設計におけるアダプティブデバイスの活用方法について解説する.

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