筆者は1985~2022年の間,企業(株式会社日立製作所,株式会社ルネサスエレクトロニクス,株式会社村田製作所)で移動体通信向け高周波回路特にトランシーバ(送受信機)機能を集積したRFIC(radio frequency integrated circuit)と,送信信号を増幅するPA(電力増幅器)などの開発を行った.自身の開発の経緯を振り返ると,キラーアプリケーションである携帯電話の出現までアプリケーションを探索していた初期と,主に第2世代携帯電話をアプリケーションとしたRFICとPAモジュールを開発していた中期と,スマートフォン向けPAモジュールを開発していた後期ととらえることができる.本稿では自分の原点としてアプリケーションを探索していた初期の開発について述べ,その後の開発にどのようにつながっていったかを述べる.