抄録
現代のイメージング技術の発展により,医療分野において様々なディジタル画像が利用されている.病理分野においてもガラス標本全体を撮影しディジタル画像として保存するバーチャルスライドスキャナの開発に伴い,ディジタル病理画像を用いた画像解析や臨床応用への期待が高まっている.しかしながらディジタル病理画像の普及は依然として不十分であり,使用用途が限られているのが現状である.原因の一つとして,得られる画像の色や画質に関する問題が挙げられるが,一方で画像処理によりこれらの問題を解決する動きも見られている.本稿では現在研究されているディジタル病理画像解析技術や,ディジタル病理画像の色や画質の改善に関する動向について解説する.