実験動物
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CFW系マウスにおける脱毛性半致死突然変異
吉田 浩子
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1964 年 13 巻 1 号 p. 13-17

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抄録

脱毛性半致死マウスをCFW集団中に発見しその脱毛の発生過程と症状を明かにし, ついでvirus, 細菌, 外部寄生虫の検索, 感染実験, ならびに遺伝因子分析のための交配実験を行った。
結果はつぎのように要約される。
1) 異常は乳のみ期にはじまり異常分泌によると思われるフケの蓄積とそれにひき続きおこる脱毛, 再生のくり返しで, この症状はいずれの場合も典型的に発現する。
2) こういった乳のみ異常マウス (CFW/ab) の脳をサル腎細胞およびL細胞に接種したがReovirusの存在は証明されなかった。また, 皮膚分泌物からサブロー培地に分離した酵母を2週令正常マウスの皮膚に塗抹ならびに腹腔内に接種したが同様の異常をおこすことはできずまた同居によって正常マウスに感染させえなかった。
また被毛加温法により外部寄生虫は見出されなかった。
3) CFW/abと正常マウスとの交配によるF2においては, 正常: 異常が3: 1に分離することにより, 異常の原因は単純劣性因子でかつ伴性遺伝因子ではないと考えられる。
4) albino, black, agoutiを決定する各毛色因子とab因子とが独立であるという推定は否定される。
5) ab因子は半致死として発現する。

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© 社団法人日本実験動物学会
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